80代の親の確定申告、本当に必要?税理士が教える判断基準と手続きの全知識
80代の親の確定申告、本当に必要?税理士が教える判断基準と手続きの全知識
この記事では、80代のお母様の確定申告に関する疑問にお答えします。年金、家賃収入、仕送りがある場合、確定申告が必要かどうか、具体的な判断基準と手続きをわかりやすく解説します。高齢の親御さんの確定申告は複雑になりがちですが、この記事を読めば、あなたも適切な対応ができるようになります。
確定申告が必要ですか?
80を過ぎた母のことで質問です。
年金が年に63万、その他に自宅の店舗部分を貸している家賃収入が月8万で年96万。
あと、私からの仕送りが月3万で年に36万、兄も仕送りをしています(多分、2~3万)。
この状態で、確定申告が必要ですか?賃貸は不動産屋さんを通して行っており、月8万の家賃は不動産屋さんに手数料を支払った後、振り込まれる金額です。
母は数年前に認知症を発症し、現在は施設に入っています。
私と兄からの仕送りは、施設の費用が母の収入だけでは賄えないので、その分を兄妹で補助しているもので、兄の仕送りの額はその月の足りない分、という感じのようです。
実家の店舗を貸すようになったのは母が元気だったころからですが、そのころ確定申告をしていたのかどうかがわかりません。
もっとも、その頃は私たちからの仕送りはなく、年金と家賃のみの収入でしたが。
母が施設に入って3年ほどになりますが、最近人に言われるまで、確定申告のことに考えが及びませんでした。
兄に訊いても、自分はしたことがないとのことです。
自分でも調べてみたのですが、いろんなケースによって違うようで、母の今の状態ではどうか、ということがよくわかりませんでした。
確定申告の基本:なぜ必要?
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、所得税を納める手続きです。所得税は、個人の所得に対してかかる税金であり、所得の種類や金額によって税率が異なります。確定申告が必要な主な理由は以下の通りです。
- 所得税の納付: 所得税を納める必要がある場合、確定申告を行うことで正確な税額を計算し、納付します。
- 還付金の受け取り: 給与所得者が年末調整で控除しきれなかった医療費控除や住宅ローン控除などがある場合、確定申告を行うことで還付金を受け取ることができます。
- 所得の証明: 確定申告書は、所得を証明する書類として利用できます。例えば、住宅ローンの審査や保育園の入園手続きなどで必要となる場合があります。
確定申告が必要な人の条件
確定申告が必要かどうかは、所得の種類や金額、控除の有無などによって異なります。一般的に、以下のいずれかに該当する場合は確定申告が必要です。
- 給与所得がある場合: 給与所得が2,000万円を超える場合や、給与所得以外の所得が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。
- 事業所得がある場合: 個人事業主やフリーランスなど、事業所得がある場合は、所得金額に関わらず確定申告が必要です。
- 不動産所得がある場合: 不動産収入がある場合は、所得金額に関わらず確定申告が必要です。
- 退職所得がある場合: 退職所得がある場合、退職所得控除を適用した後の所得金額が一定額を超える場合は確定申告が必要です。
- その他の所得がある場合: 一時所得や雑所得など、その他の所得がある場合も、所得金額によっては確定申告が必要です。
お母様のケースにおける確定申告の判断
ご相談のケースでは、お母様の収入は以下の3つです。
- 年金: 年間の年金収入が63万円
- 家賃収入: 年間の家賃収入が96万円
- 仕送り: 年間の仕送り収入が36万円(ご相談者様からの仕送り)+ 兄からの仕送り(推定24~36万円)
これらの収入を総合的に判断し、確定申告が必要かどうかを検討します。
1. 年金収入について
年金収入は、所得税の対象となる場合があります。年金の種類や所得金額によって、確定申告の必要性が異なります。一般的に、年金収入が年間400万円以下で、その他の所得が20万円以下の場合は、確定申告は不要です。
お母様の年金収入は年間63万円であり、この条件には当てはまりません。しかし、年金所得には「公的年金等控除」という所得控除が適用されます。この控除額は、年金の収入金額によって異なり、65歳以上であれば、年金収入が130万円以下の場合には、控除額が70万円となります。お母様の場合、年金収入が63万円ですので、公的年金等控除を適用すると、所得は0円となります。
2. 家賃収入について
家賃収入は、不動産所得として所得税の対象となります。不動産所得は、収入から必要経費を差し引いて計算します。必要経費には、固定資産税、修繕費、減価償却費、不動産会社への手数料などが含まれます。
お母様の家賃収入は年間96万円であり、不動産所得が発生します。不動産所得がある場合は、原則として確定申告が必要です。
3. 仕送りについて
仕送りは、通常、贈与税の対象となります。贈与税は、1年間に受け取った贈与の合計額が110万円を超える場合に課税されます。ご相談者様からの仕送りは年間36万円であり、兄からの仕送りも合わせて110万円を超える可能性は低いと考えられます。
ただし、仕送りが施設の費用に充てられている場合、その費用が生活費として認められるかどうかは、個別の状況によって判断が異なります。税務署に相談することをお勧めします。
確定申告の具体的な手続き
お母様の確定申告が必要な場合、以下の手順で手続きを行います。
1. 必要書類の準備
- 確定申告書: 税務署で入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
- 収入に関する書類: 年金振込通知書、家賃収入の明細、仕送りの記録など。
- 必要経費に関する書類: 不動産に関する固定資産税の納付書、修繕費の領収書、不動産会社への手数料の明細など。
- 控除に関する書類: 生命保険料控除証明書、医療費控除の明細、社会保険料控除の証明書など。
- 本人確認書類: マイナンバーカードまたは通知カードと運転免許証など。
2. 確定申告書の作成
確定申告書は、手書きまたはe-Tax(電子申告)で作成できます。e-Taxを利用すると、自宅からオンラインで申告できるため便利です。
- 手書きの場合: 確定申告書に、収入、必要経費、所得控除などを記入し、税額を計算します。
- e-Taxの場合: e-Taxのウェブサイトまたは確定申告書作成コーナーで、画面の指示に従って情報を入力し、税額を計算します。
3. 確定申告書の提出
確定申告書は、税務署に郵送または持参して提出します。e-Taxを利用する場合は、オンラインで送信します。
4. 税金の納付または還付
確定申告の結果、税金を納付する必要がある場合は、納付期限までに納付します。還付金が発生する場合は、指定の口座に還付金が振り込まれます。
認知症の親の確定申告における注意点
お母様が認知症を発症している場合、確定申告の手続きには特別な配慮が必要です。
- 成年後見制度の利用: 認知症の方の財産管理や身上監護を行う成年後見人を選任している場合は、成年後見人が確定申告の手続きを行います。
- 家族による代理申告: 成年後見人がいない場合は、家族が代理で確定申告を行うことができます。ただし、税務署に相談し、必要な手続きを行う必要があります。
- 書類の保管: 確定申告に必要な書類は、適切に保管しておきましょう。万が一、税務署から問い合わせがあった場合に、スムーズに対応できます。
- 税理士への相談: 確定申告の手続きが難しい場合は、税理士に相談することをお勧めします。税理士は、専門的な知識と経験に基づき、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
確定申告に関するよくある質問(Q&A)
確定申告に関するよくある質問とその回答をまとめました。
Q1: 確定申告を忘れてしまった場合、どうすればよいですか?
A1: 確定申告を忘れてしまった場合でも、諦めずにできるだけ早く確定申告を行いましょう。期限後申告という手続きを行い、税務署に申告書を提出します。ただし、無申告加算税や延滞税が発生する場合があります。
Q2: 確定申告の時期はいつですか?
A2: 確定申告の期間は、原則として2月16日から3月15日までです。ただし、土日祝日の関係で期間が変更される場合があります。e-Taxを利用する場合は、期間に関わらず申告できます。
Q3: 確定申告の相談はどこでできますか?
A3: 確定申告に関する相談は、税務署、税理士事務所、確定申告相談会などでできます。税務署では、確定申告期間中に相談窓口が設置され、専門家が相談に対応してくれます。税理士事務所では、個別の相談や申告書の作成を依頼できます。
Q4: 確定申告に必要な書類を紛失した場合、どうすればよいですか?
A4: 確定申告に必要な書類を紛失した場合でも、再発行できるものがあります。例えば、源泉徴収票は、勤務先に再発行を依頼できます。医療費控除の明細は、医療機関に問い合わせて入手できます。その他の書類については、税務署に相談しましょう。
Q5: 確定申告の際に、税理士に依頼するメリットは何ですか?
A5: 税理士に依頼するメリットは、専門的な知識と経験に基づいたアドバイスを受けられること、申告書の作成を代行してもらえること、税務調査の際にサポートを受けられることなどです。税理士に依頼することで、確定申告の手間を省き、税務上のリスクを軽減できます。
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まとめ
今回のケースでは、お母様の年金収入、家賃収入、仕送りの状況から、確定申告の必要性を判断する必要があります。家賃収入があるため、原則として確定申告が必要となります。しかし、認知症を発症しているため、成年後見制度の利用や家族による代理申告など、特別な配慮が必要です。税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
確定申告は、複雑で面倒な手続きですが、正しく行うことで、税金の負担を軽減したり、還付金を受け取ったりすることができます。この記事を参考に、ご自身の状況に合わせて、適切な対応を行ってください。
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