成年後見監督人の報酬減額は可能？家庭裁判所とのやり取りで困った時の対処法を解説
成年後見監督人の報酬減額は可能？家庭裁判所とのやり取りで困った時の対処法を解説
この記事では、成年後見制度における報酬減額の可能性と、家庭裁判所とのやり取りで直面する問題への対処法について、具体的な事例を基に解説します。成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産管理や身上監護を支援するための重要な制度ですが、運用においては様々な課題が生じることがあります。特に、報酬の問題や裁判所との意見の相違は、関係者にとって大きな負担となることがあります。この記事を通じて、成年後見制度に関する知識を深め、より円滑な運用を目指しましょう。
現在、父が被後見人、母が後見人としており、知り合いの弁護士さんにほぼ無報酬で成年後見監督人をしてもらっています。その弁護士さんは父が元気な頃からお付き合いがあったので、新たに成年後見監督人を入れると、父の持つ不動産（共有かつ狭小の物がたくさんある状態）や財産の説明も大変だしと言う事でお願いしました。
父はまだ入院中であり、それなりに手の掛かる状態で、個室に入院しておりますので、医療費等での出費が多く、父の収入（所有する不動産からの家賃収入や株式の配当）よりも支出（ほとんどが医療費、介護費、家の修繕費、母の最低限の生活費等）の方が多く、
「被後見人の財産が減っているのは後見人および成年後見監督人の怠慢であり、けしからん」と家庭裁判所からクレームが来て「成年後見監督人を辞任するように」（暗に「辞任しなければ解任する」と言うニュアンスのようです）と正式な文書が弁護士さんに届いたそうです。「ついでに後見人も第三者（裁判所の勧める人）にした方が良いのでは？」と言うような事も言われているそうです。
そもそも、病気で成年後見が必要になった場合、入院費や介護費、生活費等が高額になるのは当然で、数年前に後見人制度を入れた際にもその旨（見込まれる支出が収入より多いので、父の貯金を切り崩したり、不動産が売れたお金で補てんする）を文書で提出し、一度了承されていましたが、最近急にそのような通知がなされました。
また、母（後見人）が裁判所に呼ばれて事情聴取をされたそうなのですが、何か弁明しようとすると「そういう事を議論するために呼び出したのではありません」と言う感じで、こちらの意見にはほとんど聞く耳なく、一方的に裁判所（裁判官）の主張を聞かされたそうで、「最初からこういう結論に持っていきたかったのでは？」と不信感を抱いています。
当初、後見人制度を導入する際にも「財産が多いので、後見人、後見監督人は第三者を入れるように」と言われていたのですが、こちらの事情を説明して、了解されたと言う経緯もあります。
・後見人が被後見人の財産の流用等はしておらず、支出も避けられないものがほとんどなので、これ以上の収支の改善は難しい。
・今の成年後見監督人は知り合いなので、報酬は不要との事で、新たに（裁判所が定める）成年後見監督人に依頼すると報酬が必要になる（「支出を減らせ」と言う裁判所の意向とは逆に支出が増えることになる）
と言う状況なのに、上記のような判断（成年後見監督人を交代させる）を家庭裁判所（の裁判官）がすることはありうるのでしょうか？
入院費等支出の明細については文書でも提出しているので、単に裁判官個人の認識不足のような気がするのですが、担当裁判官の交代を希望する事は出来るのでしょうか？（弁護士さんによると、後見人の「解任」に関してはその通知が来てから母がそれに対抗して争う事は出来るが、今の段階では出来ないと言う事でした）
弁護士さんとしては「解任」となると、経歴に傷がつくことは避けられず、その前に「辞任」させてほしいとの事で、こちらとしてもお世話になっている方なので辞任していただく事はやむを得ないと思います。
ただ、上記のように新たな後見監督人に報酬を支払う事は（支出を減らせと言う）裁判所の意向に反するので減額を要求したいのですが、可能なのでしょうか？もしくは新たに別の（裁判所ではなく、当方が依頼する）弁護士に後見監督人をお願いする事は可能なのでしょうか？
成年後見監督人の報酬減額の可能性：裁判所との交渉術
成年後見制度における報酬の問題は、多くの関係者にとって重要な関心事です。特に、被後見人の財産状況や生活状況によっては、報酬が大きな負担となることもあります。ここでは、成年後見監督人の報酬減額の可能性について、裁判所との交渉術を含めて詳しく解説します。
1. 報酬減額の可否：基本原則と裁判所の判断
成年後見監督人の報酬は、原則として家庭裁判所が決定します。報酬額は、被後見人の財産状況、事務の難易度、成年後見監督人の専門性などを考慮して決定されます。しかし、裁判所は、被後見人の財産状況や生活状況を考慮し、必要に応じて報酬額を減額することがあります。
今回のケースのように、被後見人の収入よりも支出が多く、財産が減少している状況では、裁判所は報酬の減額を検討する可能性があります。ただし、裁判所が一方的に報酬を決定するのではなく、関係者との協議を通じて決定することが一般的です。
2. 減額を求めるための具体的な方法
報酬の減額を求めるためには、以下の方法を検討しましょう。
- 裁判所との協議: 裁判所に対し、報酬減額の必要性を具体的に説明し、協議を申し出ることが重要です。被後見人の財産状況、支出の内訳、成年後見監督人の事務内容などを詳細に説明し、報酬減額の根拠を明確に示しましょう。
- 書面での意見提出: 裁判所に対して、報酬減額を求める意見書を提出することも有効です。意見書には、報酬減額を求める理由、具体的な希望額、関連資料などを添付します。
- 専門家への相談: 弁護士や司法書士などの専門家に相談し、報酬減額に関するアドバイスを受けることも有効です。専門家は、裁判所の判断基準や交渉のノウハウに精通しており、適切なアドバイスを提供してくれます。
3. 裁判所の意向を理解する：コミュニケーションの重要性
裁判所が報酬減額を検討する背景には、被後見人の財産保全という重要な目的があります。裁判所の意向を理解し、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。
- 裁判官との面談: 裁判官との面談を通じて、直接意見交換を行うことも有効です。面談では、被後見人の状況や報酬に関する疑問点を質問し、裁判所の考えを理解するように努めましょう。
- 情報公開: 裁判所に対して、被後見人の財産状況や事務内容に関する情報を積極的に開示し、透明性を高めることも重要です。
- 協力体制の構築: 後見人、成年後見監督人、弁護士などの関係者と協力し、裁判所との連携を強化することも重要です。
裁判所との対立を避けるには：円滑な関係構築のポイント
裁判所との対立は、成年後見制度の運用を困難にするだけでなく、関係者間の信頼関係を損なう可能性もあります。ここでは、裁判所との円滑な関係を構築するためのポイントを解説します。
1. 丁寧な情報共有と報告義務の遵守
裁判所に対して、被後見人の財産状況や事務内容に関する情報を正確かつ迅速に報告することが重要です。定期的な報告書の提出はもちろんのこと、重要な事項が発生した場合は、速やかに裁判所に報告しましょう。
- 報告書の作成: 裁判所の指示に従い、正確な報告書を作成しましょう。報告書には、被後見人の財産状況、収入と支出の内訳、事務の進捗状況などを詳細に記載します。
- 情報開示: 裁判所からの求めに応じて、必要な情報を速やかに開示しましょう。
- 記録の保管: 事務に関する記録を適切に保管し、いつでも裁判所に提示できるようにしておきましょう。
2. 裁判所の意向を尊重した対応
裁判所の決定や指示には、誠実に対応することが重要です。裁判所の意向を尊重し、円滑な制度運用に協力する姿勢を示しましょう。
- 決定の遵守: 裁判所の決定には、遅滞なく従いましょう。
- 指示への対応: 裁判所からの指示には、迅速かつ適切に対応しましょう。
- 意見の尊重: 裁判所の意見を尊重し、建設的な対話を通じて問題解決を図りましょう。
3. 専門家との連携：弁護士や司法書士の活用
成年後見制度に関する専門家である弁護士や司法書士と連携することで、裁判所との円滑な関係を構築しやすくなります。専門家は、法律知識や交渉術に精通しており、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。
- 専門家への相談: 困ったことがあれば、遠慮なく専門家に相談しましょう。
- 専門家の活用: 弁護士や司法書士に、書類作成や裁判所との交渉を依頼することも有効です。
- 情報交換: 専門家と情報交換を行い、最新の情報を共有しましょう。
成年後見監督人の交代：辞任と新たな監督人の選任
今回のケースのように、成年後見監督人が辞任せざるを得ない状況になった場合、新たな監督人を選任する必要があります。ここでは、成年後見監督人の交代に関する手続きと注意点について解説します。
1. 辞任の手続きと裁判所の対応
成年後見監督人が辞任する場合、裁判所に辞任届を提出する必要があります。裁判所は、辞任届を受理し、新たな成年後見監督人を選任するための手続きを開始します。
- 辞任届の提出: 辞任届には、辞任の理由や今後の対応などを記載します。
- 裁判所の審査: 裁判所は、辞任届の内容を審査し、辞任を認めるかどうかを判断します。
- 後任の選任: 裁判所は、新たな成年後見監督人を選任します。
2. 新たな成年後見監督人の選任：候補者の選定と裁判所への推薦
新たな成年後見監督人を選任するにあたり、候補者を検討し、裁判所に推薦することができます。候補者としては、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家が考えられます。
- 候補者の選定: 候補者の専門性、経験、人柄などを考慮して、適切な候補者を選定しましょう。
- 裁判所への推薦: 選定した候補者を、裁判所に推薦しましょう。推薦状には、候補者の情報や推薦理由などを記載します。
- 裁判所の判断: 裁判所は、推薦された候補者を含め、様々な候補者の中から、最適な成年後見監督人を選任します。
3. 報酬に関する取り決め：減額交渉と合意
新たな成年後見監督人の報酬額については、裁判所と協議し、合意する必要があります。報酬減額を希望する場合は、その理由を明確に説明し、裁判所の理解を得るように努めましょう。
- 報酬に関する協議: 裁判所と、新たな成年後見監督人の報酬額について協議しましょう。
- 減額交渉: 報酬減額を希望する場合は、減額の理由を説明し、裁判所に理解を求めましょう。
- 合意: 裁判所と成年後見監督人の間で、報酬額について合意しましょう。
裁判官の交代を希望することは可能か？
今回のケースのように、担当裁判官とのコミュニケーションがうまくいかない場合、担当裁判官の交代を希望することも可能です。ただし、裁判官の交代は容易ではなく、一定の条件を満たす必要があります。ここでは、担当裁判官の交代を希望する場合の手続きと注意点について解説します。
1. 担当裁判官の交代を希望できるケース
担当裁判官の交代を希望できるケースとしては、以下のようなものが考えられます。
- 不公平な判断: 裁判官が不公平な判断をしている場合。
- 偏った意見: 裁判官が一方的な意見を持っている場合。
- コミュニケーションの困難: 裁判官とのコミュニケーションが円滑に進まない場合。
2. 交代を希望するための手続き
担当裁判官の交代を希望する場合、裁判所にその旨を申し立てる必要があります。申し立ての方法としては、以下のようなものが考えられます。
- 書面での申し立て: 裁判所に、担当裁判官の交代を求める申立書を提出します。申立書には、交代を求める理由を具体的に記載します。
- 口頭での申し立て: 裁判官との面談などで、口頭で交代を求めることも可能です。
- 弁護士への相談: 弁護士に相談し、適切な手続きについてアドバイスを受けることも有効です。
3. 交代が認められるための条件と注意点
担当裁判官の交代が認められるためには、交代を求める理由が正当であり、裁判所がそれを認める必要があります。交代が認められるかどうかは、裁判所の判断によります。
- 客観的な証拠: 交代を求める理由を裏付ける客観的な証拠を提示することが重要です。
- 丁寧な説明: 交代を求める理由を、裁判所に丁寧に説明しましょう。
- 弁護士のサポート: 弁護士に相談し、手続きを進めることが望ましいです。
成年後見制度に関するよくある疑問と解決策
成年後見制度に関する疑問は、多くの方が抱えるものです。ここでは、よくある疑問とその解決策について解説します。
1. 後見人や成年後見監督人の報酬は、どこから支払われるのですか？
後見人や成年後見監督人の報酬は、被後見人の財産から支払われます。報酬額は、家庭裁判所が決定し、被後見人の財産状況や事務の難易度などを考慮して決定されます。
2. 後見人や成年後見監督人が、被後見人の財産を不正に利用した場合、どうすればいいですか？
後見人や成年後見監督人が、被後見人の財産を不正に利用した場合、不正行為の証拠を収集し、家庭裁判所に報告する必要があります。裁判所は、不正行為があったと判断した場合、後見人や成年後見監督人を解任し、損害賠償を命じるなどの措置を取ります。
3. 後見人や成年後見監督人が、被後見人のために適切な事務を行わない場合、どうすればいいですか？
後見人や成年後見監督人が、被後見人のために適切な事務を行わない場合、家庭裁判所に苦情を申し立てることができます。裁判所は、苦情の内容を調査し、必要に応じて後見人や成年後見監督人に対して指導や監督を行います。
4. 家族が後見人になることはできますか？
はい、家族が後見人になることは可能です。ただし、家庭裁判所は、被後見人の状況や家族の能力などを考慮して、後見人として適任かどうかを判断します。家族が後見人になる場合は、専門家（弁護士や司法書士など）のサポートを受けることをおすすめします。
5. 成年後見制度を利用するには、どのような手続きが必要ですか？
成年後見制度を利用するには、まず、家庭裁判所に後見開始の申立てを行う必要があります。申立てには、申立書、診断書、戸籍謄本などの書類を提出します。裁判所は、申立ての内容を審査し、後見開始の審判を行います。
成年後見制度は、判断能力が低下した方の権利と財産を守るための重要な制度です。しかし、制度の運用には様々な課題があり、関係者は多くの悩みや疑問を抱えています。この記事では、成年後見監督人の報酬減額の可能性、裁判所との円滑な関係構築、成年後見監督人の交代、担当裁判官の交代など、様々な問題について解説しました。これらの情報が、成年後見制度に関する理解を深め、より円滑な運用に役立つことを願っています。
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