賃金台帳と労働者名簿の疑問を解決!10人以下の会社でもできる適切な管理方法
賃金台帳と労働者名簿の疑問を解決!10人以下の会社でもできる適切な管理方法
この記事では、10人以下の小規模な会社を経営されている方、またはこれから起業を考えている方を対象に、賃金台帳と労働者名簿の適切な管理方法について解説します。税理士や社労士に任せていたけれど、自分たちで管理することになった、という状況でも、安心して対応できるよう、具体的な方法や注意点、保管方法などを詳しくご紹介します。
賃金台帳ってどうしてますか?
今までは税理士さんに全て丸投げ、労働保険の計算等も社労士さんにお願いしていました。
なので、うちの会社にも賃金台帳があるということすら知りませんでした。(きっと、税理士が作成して社労士にデータを渡していたんだと思います;)
本来なら会社で作成するものですよね。
新店舗を出すので今度は自分たちで出来る限りやってみようということで質問させていただきました。従業員は10名以下の予定です。
賃金台帳はコクヨから販売されているし、テンプレートも検索すれば出てくるのですが、一般の企業さんはどんな感じでやっているのでしょう?
また、保管方法もただファイルに挟んでいるだけなのか、1枚1枚クリアファイルに入れて丁重に保管しているとかあったら教えていただきたいです。
あと、同様に労働者名簿もどんな感じでやって、どのように保管しているのか教えていただけたら幸いです。
賃金台帳と労働者名簿は、従業員の給与計算や労務管理において非常に重要な書類です。これらの書類の作成・保管は、法律で義務付けられており、適切な管理が求められます。特に、従業員数が少ない会社では、これらの業務を自分たちで行う必要が出てくることも多いでしょう。この記事では、賃金台帳と労働者名簿の基礎知識から、具体的な作成方法、保管方法、さらにはよくある疑問点まで、わかりやすく解説します。これを読めば、あなたも賃金台帳と労働者名簿のプロフェッショナルになれるはずです。
1. 賃金台帳とは?
賃金台帳とは、従業員の給与に関する情報を記録した重要な帳簿です。労働基準法によって作成と保管が義務付けられており、企業の労務管理の基盤となるものです。以下に、賃金台帳の基本的な情報と、その重要性について解説します。
1.1 賃金台帳の定義と目的
賃金台帳は、各従業員の氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間、基本給、手当、控除額、実際に支払われた金額などを記録するものです。主な目的は、以下の通りです。
- 給与計算の正確性の確保: 従業員の給与計算の根拠となる情報を記録し、計算ミスを防ぎます。
- 労働基準法への対応: 労働基準法で定められた賃金に関する規定を遵守していることを証明します。
- 税務署への対応: 税務署からの調査があった場合に、給与支払いの事実を証明します。
- 労使間のトラブル防止: 給与に関する記録を明確にすることで、労使間のトラブルを未然に防ぎます。
1.2 賃金台帳に記載すべき項目
賃金台帳には、以下の項目を記載する必要があります。これらの情報は、法律で定められており、正確に記録することが求められます。
- 氏名: 従業員の氏名
- 性別: 従業員の性別
- 賃金計算期間: 給与計算の対象となる期間
- 労働日数: 実際に働いた日数
- 労働時間: 実際に働いた時間数(時間外労働時間数、深夜労働時間数、休日労働時間数も含む)
- 基本給: 基本となる給与
- 手当: 家族手当、住宅手当、通勤手当など、各種手当の内訳
- 控除額: 健康保険料、厚生年金保険料、所得税、住民税、雇用保険料などの控除額の内訳
- 実際に支払われた金額: 控除後の手取り額
- その他: 欠勤日数、遅刻・早退時間など、給与計算に影響する情報
1.3 賃金台帳の作成義務と罰則
賃金台帳の作成は、労働基準法第108条によって義務付けられています。違反した場合は、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、賃金台帳の不備や未作成は、労働基準監督署の調査で指摘されることがあり、企業の信用を損なうことにもつながります。正しく作成し、適切に保管することが重要です。
2. 労働者名簿とは?
労働者名簿は、従業員の基本情報を記録した帳簿であり、労務管理の基礎となるものです。賃金台帳と同様に、作成と保管が法律で義務付けられています。以下に、労働者名簿の基本的な情報と、その重要性について解説します。
2.1 労働者名簿の定義と目的
労働者名簿は、従業員の氏名、生年月日、住所、履歴、採用年月日、退職年月日などの基本情報を記録するものです。主な目的は、以下の通りです。
- 従業員情報の管理: 従業員の基本情報を一元的に管理し、労務管理を効率化します。
- 緊急時の対応: 従業員の連絡先や緊急連絡先を把握し、緊急時に迅速に対応できるようにします。
- 労働保険・社会保険の手続き: 労働保険や社会保険の手続きに必要な情報を記録します。
- 労務管理の基礎: 従業員の異動や配置転換、昇進などの人事管理の基礎となります。
2.2 労働者名簿に記載すべき項目
労働者名簿には、以下の項目を記載する必要があります。これらの情報は、法律で定められており、正確に記録することが求められます。
- 氏名: 従業員の氏名
- 生年月日: 従業員の生年月日
- 性別: 従業員の性別
- 住所: 従業員の現住所
- 履歴: 学歴や職務経歴など
- 採用年月日: 会社に入社した年月日
- 退職年月日: 会社を退職した年月日
- 従事する業務の種類: 担当している業務内容
- 履歴: 昇進・異動などの記録
- その他: 連絡先、緊急連絡先など
2.3 労働者名簿の作成義務と罰則
労働者名簿の作成は、労働基準法第107条によって義務付けられています。違反した場合は、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、労働者名簿の不備や未作成は、労働基準監督署の調査で指摘されることがあり、企業の信用を損なうことにもつながります。正しく作成し、適切に保管することが重要です。
3. 賃金台帳と労働者名簿の作成方法
賃金台帳と労働者名簿の作成は、法律で義務付けられており、正確に行う必要があります。ここでは、それぞれの作成方法について、具体的なステップと注意点、そして効率的な方法を解説します。
3.1 賃金台帳の作成ステップ
賃金台帳の作成は、以下のステップで行います。
- 給与計算の準備: 従業員の給与計算に必要な情報を収集します。具体的には、労働時間、残業時間、欠勤時間、各種手当の金額などです。
- 給与計算の実施: 収集した情報をもとに、給与計算を行います。給与計算ソフトやエクセルなどを活用すると、効率的に行えます。
- 賃金台帳への記録: 給与計算の結果を、賃金台帳に記録します。各従業員ごとに、氏名、給与計算期間、労働時間、基本給、手当、控除額、実際に支払われた金額などを記載します。
- 確認と修正: 記録した内容に誤りがないか、確認します。誤りがあれば修正し、正確な情報を記録します。
- 保管: 作成した賃金台帳は、3年間保管する義務があります。
3.2 労働者名簿の作成ステップ
労働者名簿の作成は、以下のステップで行います。
- 従業員情報の収集: 従業員の基本情報を収集します。具体的には、氏名、生年月日、住所、履歴、採用年月日、退職年月日などです。
- 労働者名簿への記録: 収集した情報を、労働者名簿に記録します。各従業員ごとに、必要な項目を記載します。
- 更新: 従業員の異動や住所変更など、情報に変更があった場合は、速やかに更新します。
- 確認と修正: 記録した内容に誤りがないか、定期的に確認します。誤りがあれば修正し、正確な情報を記録します。
- 保管: 労働者名簿は、従業員の退職後3年間保管する義務があります。
3.3 賃金台帳と労働者名簿の作成ツール
賃金台帳と労働者名簿の作成には、さまざまなツールが利用できます。自社の状況に合わせて、最適なツールを選びましょう。
- エクセル: エクセルは、手軽に利用できるツールです。テンプレートを活用すれば、簡単に賃金台帳や労働者名簿を作成できます。ただし、手作業での入力が必要となるため、ミスに注意が必要です。
- 給与計算ソフト: 給与計算ソフトは、給与計算から賃金台帳の作成まで、一元的に行える便利なツールです。自動計算機能や、法改正への対応など、多くのメリットがあります。
- クラウドサービス: クラウド型の給与計算ソフトや労務管理システムは、インターネット上で利用できるため、場所を選ばずにアクセスできます。データの共有や、バックアップも容易です。
- テンプレート: インターネット上には、賃金台帳や労働者名簿のテンプレートが多数公開されています。無料でダウンロードできるものもあるので、活用してみましょう。
4. 賃金台帳と労働者名簿の保管方法
賃金台帳と労働者名簿は、法律で保管が義務付けられています。適切な方法で保管し、万が一の事態に備えましょう。ここでは、保管期間、保管場所、そして注意点について解説します。
4.1 保管期間
賃金台帳と労働者名簿の保管期間は、以下の通りです。
- 賃金台帳: 最後の記載から3年間
- 労働者名簿: 従業員の退職日から3年間
これらの期間は、労働基準法で定められており、必ず守る必要があります。保管期間を過ぎた場合は、廃棄しても構いません。
4.2 保管場所
賃金台帳と労働者名簿は、以下の場所に保管することが推奨されます。
- 事務所内の安全な場所: 火災や盗難のリスクが低い場所に保管します。
- 施錠できる場所: 重要書類は、施錠できるキャビネットや金庫に保管します。
- アクセス制限: 従業員の個人情報が含まれるため、アクセスできる人を制限します。
- バックアップ: 電子データで管理している場合は、定期的にバックアップを取り、万が一のデータ消失に備えます。
4.3 保管方法の具体例
賃金台帳と労働者名簿の保管方法には、さまざまな方法があります。自社の状況に合わせて、最適な方法を選びましょう。
- 紙媒体での保管: ファイルやバインダーに綴じて保管します。クリアファイルに入れるなど、丁寧な保管も可能です。
- 電子データでの保管: スキャナーで電子化し、パソコンやクラウドストレージに保存します。
- 複合的な保管: 紙媒体と電子データを併用して保管します。
4.4 保管に関する注意点
賃金台帳と労働者名簿の保管には、以下の点に注意しましょう。
- 紛失・漏洩の防止: 重要書類の紛失や、個人情報の漏洩を防ぐために、厳重な管理体制を構築します。
- 整理整頓: 書類を整理整頓し、必要なときにすぐに取り出せるようにします。
- 廃棄方法: 保管期間が過ぎた書類は、シュレッダーにかけるなど、適切な方法で廃棄します。
- 法改正への対応: 関連法規が改正された場合は、保管方法を見直します。
5. 賃金台帳と労働者名簿に関するよくある質問
賃金台帳と労働者名簿に関する疑問は、多くの方が抱えるものです。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
5.1 従業員が10人以下の会社でも、賃金台帳と労働者名簿は必要ですか?
はい、従業員数が10人以下であっても、賃金台帳と労働者名簿の作成と保管は、労働基準法で義務付けられています。規模に関わらず、すべての事業者が対象となります。
5.2 賃金台帳や労働者名簿は、手書きでも良いですか?
賃金台帳や労働者名簿は、手書きでも、パソコンで作成したものでも構いません。ただし、記載内容が正確で、改ざんができないように管理する必要があります。
5.3 賃金台帳や労働者名簿の保管場所は、どこでも良いですか?
賃金台帳と労働者名簿は、事務所内の安全な場所に保管する必要があります。火災や盗難のリスクが低い場所、施錠できる場所、アクセス制限ができる場所などが望ましいです。
5.4 賃金台帳や労働者名簿の保管期間を過ぎたら、どうすれば良いですか?
賃金台帳と労働者名簿の保管期間を過ぎたら、廃棄しても構いません。ただし、個人情報が含まれるため、シュレッダーにかけるなど、適切な方法で廃棄してください。
5.5 賃金台帳や労働者名簿の作成方法がわからない場合は、誰に相談すれば良いですか?
賃金台帳や労働者名簿の作成方法がわからない場合は、以下の専門家に相談することをおすすめします。
- 社会保険労務士: 労務管理に関する専門家であり、賃金台帳や労働者名簿の作成方法について、具体的なアドバイスを受けることができます。
- 税理士: 給与計算や税務に関する専門家であり、賃金台帳の作成や、税務上の注意点について相談できます。
- 行政機関: 労働基準監督署やハローワークなど、行政機関でも相談を受け付けています。
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6. 賃金台帳と労働者名簿の効率的な運用
賃金台帳と労働者名簿の作成と保管は、手間のかかる作業ですが、効率的な運用方法を取り入れることで、業務負担を軽減できます。ここでは、効率的な運用方法と、それによって得られるメリットについて解説します。
6.1 効率的な運用方法
賃金台帳と労働者名簿を効率的に運用するためには、以下の方法を検討しましょう。
- 給与計算ソフトの導入: 給与計算ソフトを導入することで、給与計算から賃金台帳の作成まで、一元的に行えます。自動計算機能や、法改正への対応など、多くのメリットがあります。
- クラウドサービスの活用: クラウド型の給与計算ソフトや労務管理システムを利用することで、場所を選ばずにアクセスでき、データの共有やバックアップも容易になります。
- テンプレートの活用: インターネット上で公開されているテンプレートを活用することで、賃金台帳や労働者名簿を簡単に作成できます。
- アウトソーシングの検討: 専門家(社会保険労務士など)に、賃金台帳や労働者名簿の作成をアウトソーシングすることも検討しましょう。
6.2 効率的な運用によるメリット
賃金台帳と労働者名簿を効率的に運用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 業務時間の短縮: 給与計算ソフトやクラウドサービスを利用することで、給与計算や帳簿作成にかかる時間を大幅に短縮できます。
- ミスの削減: 自動計算機能やテンプレートの活用により、計算ミスや記載ミスを減らすことができます。
- コンプライアンスの強化: 法令改正への対応が容易になり、コンプライアンスを強化できます。
- コスト削減: アウトソーシングを活用することで、人件費やシステム導入費用などのコストを削減できます。
- 労務管理の質の向上: 効率的な運用により、労務管理に費やす時間を増やし、従業員満足度を高めることができます。
7. まとめ
この記事では、賃金台帳と労働者名簿の基礎知識から、具体的な作成方法、保管方法、そして効率的な運用方法まで、詳しく解説しました。賃金台帳と労働者名簿は、企業の労務管理において非常に重要な書類であり、法律で作成と保管が義務付けられています。従業員数が少ない会社でも、これらの書類を適切に管理することで、法令遵守、労務管理の効率化、そして従業員との良好な関係構築につながります。
賃金台帳と労働者名簿の作成は、最初は難しく感じるかもしれませんが、一つ一つステップを踏んでいくことで、必ずできるようになります。この記事で紹介した情報や、各種ツール、専門家のサポートなどを活用し、ぜひ実践してみてください。賃金台帳と労働者名簿のプロフェッショナルを目指し、より良い労務管理を実現しましょう。
この記事が、あなたの会社における労務管理の一助となれば幸いです。もし、さらに詳しい情報や、個別の相談が必要な場合は、専門家にご相談ください。
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