「家に帰りたい」母との葛藤…介護と仕事の両立、あなたはどう乗り越える？
「家に帰りたい」母との葛藤…介護と仕事の両立、あなたはどう乗り越える？
まず、今回の相談内容を整理します。
老人ホームに入居中の母が出たい出たいと言っていて、どうするべきかとても悩んでいます。似たようなご経験がある方からのアドバイスをよろしくお願いします。
母は昨年の３月まで実家（都内）で一人暮らしをしていたんですが、転んで入院してしまったのをきっかけに、ケアマネージャーさんから強く勧められ、入院中に有料老人ホームを探し、それ以来１年４ヶ月入っています。
家に帰りたい願望が常に強く、ほぼ毎週、少なくても隔週で家に連れて帰っています。要介護度は数年前から３で、家中手すりや平行棒だらけですが、それでもたまに夜中にトイレに行く途中など転んでしまい、起き上がれなくなります。本人は一人でも暮らすと言っていますが見守りがないと厳しいと思います。
身よりは私しかおらず、（仕事の関係）実家からはクルマで２時間半くらいのところに住んでおり、かつ毎日帰りが遅いため、仮に一緒に暮らしたとしても十分に介護する事ができません。（帰り時間も不定期で出張もあり、また独り身でもあります）
本人は若干痴呆も入っているんですが、話をするときは会話も成立し、昔の事は覚えています。ただし新しい事はほとんど記憶できません（昨日合ったこととか、話したことはすっかり忘れてしまい、思い出す事もできません）。会う度に施設を出たいという話になりノイローゼになりそうです。また週末実家に連れて帰ったあと、再び老人ホームに連れて帰るのがとても大変で私自身もちょっと鬱気味になっています（まだ大丈夫だとは思いますが）。
老人ホームは実家からクルマで１時間半、私の住んでいるところから１時間くらいのところにあります。週末実家に連れて帰らないときは会いに行くだけになりますが、そのときも帰りたい帰りたいと言われ大変です。
私が住んでいるところに気分転換も兼ねて連れてきたことも何度かありますが、気に入ってもらえませんでした。
実家近くの施設に移してあげられれば、親戚の人や友人も遊びにきてくれると思うんですが、如何せんあまりにも費用が高くとても無理です。
他に良い方法など含めアドバイス等ありましたらお願いいたします。
この相談は、介護と仕事の両立という、現代社会における大きな課題を浮き彫りにしています。今回の記事では、介護と仕事の両立に悩むあなたに向けて、現状の整理、具体的な選択肢の提示、そして心のケアという３つの側面から、問題解決への糸口を探ります。
1. 現状の整理：抱えている問題の可視化
まずは、あなたが抱えている問題を具体的に整理し、現状を客観的に把握することから始めましょう。問題を可視化することで、対策を立てやすくなります。
- 介護の負担
- 週に一度以上の実家への往復、もしくは施設への訪問
- 母親の「家に帰りたい」という強い願望への対応
- 転倒のリスクと、それに対する不安
- 仕事との両立
- 仕事の多忙さ、不規則な勤務時間
- 単身であることによる、介護のサポート不足
- 出張の多さ
- 経済的な問題
- 実家近くの施設への転居が難しい（費用が高い）
- 精神的な負担
- 母親の言動によるノイローゼ気味な状態
- 介護と仕事の両立による疲労
このように問題を整理することで、何が問題の本質なのか、そして、どの部分に焦点を当てて解決策を検討すべきなのかが見えてきます。
2. 選択肢の検討：それぞれのメリットとデメリット
現状を整理した上で、具体的な選択肢を検討しましょう。それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあり、あなたの状況に最適なものを選ぶ必要があります。
選択肢1：現在の老人ホームでの生活を継続する
メリット
- 母親の安全が確保されている（専門的なケアを受けられる）
- あなたが直接介護をする必要がない
- 経済的な負担が、現状維持であれば変わらない
デメリット
- 母親の「家に帰りたい」という願望が満たされない
- あなたが定期的に施設へ行ったり、実家に連れて帰ったりする負担が続く
- 母親の精神的な負担が続く可能性がある
選択肢2：実家近くの老人ホームへの転居を検討する
メリット
- 母親が馴染みのある環境で過ごせる可能性がある
- 親戚や友人が訪問しやすくなり、母親の精神的な安定につながる可能性がある
デメリット
- 費用が高く、経済的な負担が増える可能性がある
- 施設の空き状況によっては、すぐに転居できない可能性がある
選択肢3：自宅での介護を検討する
メリット
- 母親が慣れ親しんだ環境で過ごせる
- あなたが母親との時間をより多く持てる
デメリット
- あなたの負担が非常に大きくなる（仕事との両立が困難になる可能性が高い）
- 介護に必要な設備（手すり、平行棒など）を整える必要がある
- 24時間体制の介護が必要になる可能性がある
選択肢4：他の介護サービスの利用を検討する
メリット
- 訪問介護、デイサービスなどを利用することで、あなたの負担を軽減できる
- 母親の生活の質を向上させることができる
デメリット
- サービスの費用がかかる
- 母親がサービスに慣れるまで時間がかかる場合がある
3. 具体的な対策：それぞれの選択肢に対するアクションプラン
それぞれの選択肢に対して、具体的なアクションプランを立てましょう。ここでは、それぞれの選択肢に対する具体的な対策を提案します。
選択肢1：現在の老人ホームでの生活を継続する場合
- 母親とのコミュニケーション
- なぜ「家に帰りたい」のか、母親の気持ちを丁寧に聞き、理解しようと努める。
- 老人ホームでの生活の良い点（食事、イベントなど）を伝え、前向きな気持ちになれるように促す。
- 可能であれば、一緒に写真を見たり、思い出話をすることで、安心感を与える。
- 老人ホームとの連携
- ホームのスタッフと密にコミュニケーションを取り、母親の状況を共有する。
- 母親の不安や不満を伝え、スタッフからのサポートを仰ぐ。
- 定期的に面談を行い、今後の対応について相談する。
- 負担軽減のための工夫
- 訪問頻度を減らすのではなく、訪問時の過ごし方を工夫する（一緒に楽しめるアクティビティを取り入れるなど）。
- 介護保険サービスの利用を検討し、負担を軽減する。
選択肢2：実家近くの老人ホームへの転居を検討する場合
- 情報収集
- 実家近くの老人ホームの情報を収集する（費用、設備、サービス内容など）。
- 複数の施設を見学し、母親に合った施設を選ぶ。
- 入居費用だけでなく、月々の費用や、追加費用についても確認する。
- 経済的な対策
- 介護保険制度の利用を最大限に活用する。
- 自治体の補助金制度や、減免制度について調べる。
- 親族との協力体制を築き、費用を分担できないか検討する。
- 転居の手続き
- 現在の老人ホームに転居の意思を伝え、必要な手続きを確認する。
- 新しい施設の入居手続きを進める。
- 転居に伴う母親の精神的な負担を考慮し、丁寧に説明する。
選択肢3：自宅での介護を検討する場合
- 介護体制の構築
- 家族や親族、友人など、頼れる人に協力を仰ぐ。
- 訪問介護サービス、デイサービスなどの外部サービスを積極的に利用する。
- 介護保険制度を利用し、必要なサービスを組み合わせる。
- 住環境の整備
- 転倒防止のため、手すりの設置や、段差の解消など、安全な住環境を整える。
- 介護ベッドや、車椅子など、必要な介護用品を準備する。
- 仕事との両立
- 勤務時間や、テレワークの活用など、働き方を見直す。
- 上司や同僚に相談し、理解と協力を得る。
- 介護休暇や、時短勤務制度などを活用する。
選択肢4：他の介護サービスの利用を検討する場合
- 情報収集
- 地域の介護サービスに関する情報を収集する（訪問介護、デイサービス、ショートステイなど）。
- ケアマネージャーに相談し、母親の状況に合ったサービスを提案してもらう。
- 複数のサービスを比較検討し、母親とあなたのニーズに合ったサービスを選ぶ。
- サービスの利用
- 利用したいサービスを決定し、契約手続きを行う。
- サービス提供者と連携し、母親の状況を共有する。
- サービス利用開始後も、定期的に状況を確認し、必要に応じてサービス内容を見直す。
4. 心のケア：あなた自身の心を守るために
介護は、心身ともに大きな負担を伴います。あなた自身の心を守ることも、非常に重要な課題です。ここでは、あなたの心のケアのための具体的な方法を提案します。
- 休息の確保
- 十分な睡眠時間を確保する。
- 休息日を設け、心身を休める。
- 趣味や、リラックスできる時間を積極的に作る。
- 相談できる相手を見つける
- 家族、友人、同僚など、信頼できる人に悩みを相談する。
- 専門家（カウンセラー、精神科医など）に相談する。
- 同じような境遇の人と交流できる場に参加する（介護者の会など）。
- 情報収集
- 介護に関する情報を積極的に収集し、知識を深める。
- 介護保険制度や、利用できるサービスについて理解を深める。
- 感情のコントロール
- 自分の感情を認識し、受け入れる。
- ストレスを感じたときは、深呼吸をする、瞑想をするなど、リラックスできる方法を試す。
- 必要に応じて、専門家のサポートを受ける。
介護と仕事の両立は、決して簡単なものではありません。しかし、適切な情報収集、計画的な対策、そして心のケアを行うことで、乗り越えることは可能です。一人で抱え込まず、周囲の人々や専門家の力を借りながら、あなたと母親にとって最善の道を探してください。
今回のケースでは、母親の「家に帰りたい」という強い願望と、あなたの仕事との両立という問題が複雑に絡み合っています。まずは、母親とのコミュニケーションを密にし、なぜ「家に帰りたい」のか、その真意を理解することが重要です。その上で、現状の老人ホームでの生活を継続するのか、実家近くの施設への転居を検討するのか、自宅での介護を検討するのか、他の介護サービスの利用を検討するのか、それぞれの選択肢を慎重に検討し、最適な対策を講じることが求められます。
また、あなた自身の心のケアも非常に重要です。休息をしっかりと取り、相談できる相手を見つけ、専門家のサポートも活用しながら、心身ともに健康な状態で、介護と仕事の両立を目指しましょう。
介護は、長期間にわたる可能性があります。焦らず、一つ一つ問題を解決していくことが大切です。そして、何よりも、あなた自身の心と健康を大切にしてください。
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