看護学生のケーススタディ、不完全燃焼からの脱却！～エンパワーメントとキャリア形成への道～
看護学生のケーススタディ、不完全燃焼からの脱却！～エンパワーメントとキャリア形成への道～
この記事では、看護学生のあなたが直面しているケーススタディ作成の難しさ、特に糖尿病内科での実習における課題に焦点を当てます。患者さんとのコミュニケーション不足、目標評価の不確実性、そして指導者からのフィードバックによる不完全燃焼感。これらの悩みを抱えながらも、看護研究を成功させ、将来のキャリアへと繋げるための具体的なアドバイスを提供します。単なる知識の羅列ではなく、あなたの置かれた状況を理解し、一歩踏み出すための道標となることを目指します。
看護学生です。今ケーススタディの作成にとりかかっています。糖尿病内科での実習でケースをとらなければならなく、他の学生は自立している患者さんを受け持ち、食事指導などを行っていました。
しかし、私の受け持ち患者さんは私が受け持った時点では、合併症も多く、臥床状態で、糖尿病自律神経障害による起立性低血圧で、体位変換のみでもめまいを生じていました。また社会背景も介護力や経済面に問題があり家に帰るに帰れない状況で社会的入院となっている患者さんでした。受け持ち当初は、話しかけても「うん」のみの返答で全くコミュニケーションも取れませんでした。日々のケアの中でできることは行ってもらい、安全安楽に配慮しながら清潔援助を行いました。また足浴や温罨法などを行い、少しでも気分転換していただけるように関わりました。受け持ち期間中に、何度かカンファレンスにも入らせてもらい、３ヶ月間は施設に入所することが決まりました。そのため、車椅子への離床を促す必要があり、昼食時には血圧に注意しながら車椅子へ移乗し、デイルームで食事をとっていただきました。日々ケアを行ううちに、日に日にコミュニケーションが取れるようになり、その中で「はやく家に帰りたい。そのためには歩けるようにならなあかん。」という発言がありました。歩行は全身状態から困難だとしても、少しでも本人の希望に近づけられるように、また施設を出た後少しでも介護者の介護負担を軽減できるように車椅子上でできる筋力増強運動と車椅子両足駆動を立案しました。14日間受け持ったうちの５日間リハビリを行い、最終日にMMTや周囲径を評価として測定しましたが、正確にはかれたのか分かりません。またプライマリーナースから、継続してできるように施設の人にも連携してほしかったと最終日に指導をいただき、とても不完全燃焼な実習となりました。このような状況で看護研究を行わなくてはいけません。教員からはエンパワーメントを用いて相互作用など考察したらいいとアドバイスいただきましたが、看護の実際も何を書いたらいいかもわかりません。目標の評価であるMMTも正確に測れなかったので、結果も記せません。なにかアドバイスいただきたいです。よろしくお願いします。
1. ケーススタディ作成の第一歩：現状の整理と目標設定
ケーススタディ作成は、あなたの看護師としての成長を促す貴重な機会です。まずは、現状を客観的に整理し、具体的な目標を設定することから始めましょう。
1-1. 現状の整理：あなたの経験を価値あるものに
今回の実習であなたが経験したことは、決して「不完全燃焼」ではありません。むしろ、多くの看護学生が経験することのない、複雑な状況下での看護実践です。
- 患者さんの状態：合併症、臥床、起立性低血圧、社会的入院という多面的な問題を抱えた患者さん。
- 看護介入：清潔援助、足浴、温罨法による気分転換、車椅子への移乗、筋力増強運動、車椅子両足駆動の立案。
- コミュニケーション：当初は「うん」のみの返答だった患者さんとの関係性の変化。
- 周囲との連携：カンファレンスへの参加、施設との連携の必要性。
これらの要素を整理し、それぞれの看護介入が患者さんにどのような影響を与えたのか、具体的に記述することが重要です。
1-2. 目標設定：看護研究のテーマを見つける
教員からアドバイスされた「エンパワーメント」に着目し、あなたの看護実践を振り返ってみましょう。
- エンパワーメントとは：患者さんが自身の健康管理や生活の質を向上させるために、自己決定能力を高め、主体的に行動できるように支援すること。
- あなたのケースでのエンパワーメント：「家に帰りたい」という患者さんの希望に対し、歩行困難な状況下で、車椅子上での筋力増強運動や車椅子両足駆動を提案したことは、エンパワーメントの実践と言えます。
このエンパワーメントに着目し、以下の点を目標として設定しましょう。
- 患者さんの自己決定能力をどのように引き出したか。
- 患者さんの希望を叶えるために、どのような看護介入を行ったか。
- 看護介入が患者さんの生活の質にどのような影響を与えたか。
2. 看護研究の構成：具体的な記述方法
看護研究は、あなたの実践を客観的に評価し、その結果を論文としてまとめる作業です。以下の構成を参考に、あなたのケーススタディを完成させましょう。
2-1. 序論：問題提起と目的の明確化
- 問題提起：受け持ち患者さんの状況、看護介入の必要性、そしてあなたが直面した課題（コミュニケーション、評価の難しさ、不完全燃焼感）を具体的に記述します。
- 研究目的：エンパワーメントに着目し、あなたの看護実践を通して、患者さんの自己決定能力の向上、生活の質の改善を目指したことを明確に示します。
2-2. 方法：対象者、期間、介入内容の記述
- 対象者：患者さんの年齢、性別、病状、社会的背景などを具体的に記述します。個人情報保護に配慮し、匿名化を徹底しましょう。
- 期間：実習期間、看護介入を行った期間を明記します。
- 介入内容：
- 患者さんとのコミュニケーション方法（傾聴、共感、情報提供など）
- 実施したケア（清潔援助、足浴、温罨法、車椅子への移乗、筋力増強運動、車椅子両足駆動など）
- 評価方法（MMT、周囲径測定、患者さんの発言、行動の変化など）
を詳細に記述します。
2-3. 結果：客観的なデータと主観的な評価
- 客観的なデータ：MMTや周囲径の測定結果は、正確に測れなかったとしても、測定方法や測定時の状況を詳しく記述することで、評価の根拠を示すことができます。
- 主観的な評価：患者さんの発言や行動の変化、あなた自身の看護実践に対する振り返りを記述します。「家に帰りたい」という発言から、車椅子での移動訓練への意欲、そしてその後の変化を具体的に記述しましょう。
2-4. 考察：エンパワーメントの実践と効果
- エンパワーメントの視点：患者さんの自己決定能力をどのように引き出し、主体性を促したのかを考察します。
- 看護介入の効果：あなたの看護介入が、患者さんの生活の質にどのような影響を与えたのかを評価します。
- 身体機能：筋力増強運動による身体機能の変化、起立性低血圧への影響など。
- 心理的側面：患者さんの意欲の変化、自己肯定感の向上など。
- 社会的側面：施設入所後の生活への影響、家族との関係性など。
- 課題と今後の展望：今回の実習で得られた学び、今後の課題、そして将来の看護実践への展望を述べます。
2-5. 結論：研究のまとめと示唆
- 結論：あなたの看護実践を通して得られた結論を簡潔にまとめます。
- 示唆：今回の研究から得られた知見が、今後の看護実践にどのように活かせるのか、そして他の看護師への示唆を述べます。
3. 評価方法とデータ収集の工夫
MMTの測定が正確にできなかったとしても、諦める必要はありません。他の評価方法やデータ収集の工夫によって、あなたの研究をより質の高いものにすることができます。
3-1. 評価方法の工夫：多角的な視点から評価する
- 患者さんの発言や行動の変化：「家に帰りたい」という発言の前後で、患者さんの表情、態度、会話の内容がどのように変化したのかを記録します。
- 日常生活動作（ADL）の評価：車椅子への移乗、食事、排泄などの動作が、どのように変化したのかを評価します。
- QOL（生活の質）の評価：患者さんの満足度、幸福度などを、質問票や面接を通して評価します。
- 家族や介護者の意見：家族や介護者から、患者さんの変化や困りごとについて話を聞き、記録します。
3-2. データ収集の工夫：客観性を高める
- 記録の徹底：
- 患者さんの状態、看護介入の内容、評価結果を、詳細かつ客観的に記録します。
- 記録には、日付、時間、場所、観察者の名前などを明記します。
- 写真や動画の活用：
- 患者さんの同意を得た上で、写真や動画を記録します。
- 写真や動画は、患者さんの状態や看護介入の効果を視覚的に示すことができます。
- 他者との連携：
- 他の看護師や多職種（理学療法士、作業療法士、栄養士など）と連携し、客観的な情報を収集します。
- カンファレンスで、患者さんの状態や看護介入について意見交換を行います。
4. 不完全燃焼感を乗り越えるために：学びを活かすキャリア形成
実習での不完全燃焼感は、あなたにとって大きな学びの機会です。この経験を活かし、将来のキャリア形成に繋げましょう。
4-1. 自己分析：強みと課題を明確にする
- 強み：
- 困難な状況下でも、患者さんに寄り添い、最善を尽くそうとする姿勢。
- 患者さんの希望を叶えるために、積極的に看護介入を立案する行動力。
- 患者さんとのコミュニケーションを通して、関係性を築く能力。
- 課題：
- 評価方法の知識と技術の向上。
- 多職種との連携スキル。
- 看護研究の知識と経験。
自己分析を通して、あなたの強みを活かし、課題を克服するための具体的な目標を設定しましょう。
4-2. キャリアプラン：将来の目標を描く
- 専門分野：糖尿病看護、老年看護、在宅看護など、あなたの興味のある分野を検討します。
- キャリアパス：
- 専門看護師（CNS）：特定の専門分野において高度な知識と実践能力を持つ看護師。
- 認定看護師（CN）：特定の分野において、熟練した看護技術と知識を持つ看護師。
- 研究者：看護研究を通して、看護の発展に貢献する。
- 教育者：看護学生や現役看護師を教育する。
- 情報収集：
- 看護師向けのセミナーや研修に参加し、最新の知識や技術を習得します。
- 先輩看護師や専門家から、キャリアに関するアドバイスを受けます。
- 看護師向けの求人情報をチェックし、あなたの希望に合う職場を探します。
4-3. ポジティブな思考：成長を信じる
実習での経験は、あなたにとって大きな成長の糧となります。
- 失敗から学ぶ：今回のケーススタディを通して、評価方法やデータ収集の重要性を学びました。
- 自己肯定感を高める：困難な状況下でも、患者さんに寄り添い、最善を尽くしたという事実は、あなたの自信に繋がります。
- 継続的な学習：看護の世界は常に進化しています。継続的に学び続けることで、あなたの専門性を高め、キャリアを築くことができます。
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5. まとめ：未来への一歩を踏み出すために
今回のケーススタディは、あなたの看護師としての成長を大きく後押しするものです。
- 現状の整理：あなたの経験を価値あるものとして認識し、具体的な目標を設定しましょう。
- 看護研究の構成：序論、方法、結果、考察、結論の各項目を参考に、あなたのケーススタディを完成させましょう。
- 評価方法とデータ収集の工夫：多角的な視点から評価し、客観的なデータを収集することで、研究の質を高めましょう。
- 不完全燃焼感を乗り越える：自己分析を行い、あなたの強みを活かし、課題を克服するためのキャリアプランを立てましょう。
あなたの看護師としての未来は、無限の可能性に満ちています。
今回の経験を糧に、一歩ずつ成長し、あなたの理想とする看護師像を実現してください。
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