認知症とわがままの境界線：介護現場での葛藤と、あなたができること
認知症とわがままの境界線：介護現場での葛藤と、あなたができること
この記事では、認知症とわがままの境界線、そして介護現場で直面する困難について、具体的な事例を基に掘り下げていきます。介護を必要とするご家族の状況を理解し、より良いケアを提供するためのヒントをご紹介します。介護士の仕事の役割や、家族としてできること、専門家への相談の重要性についても触れていきます。
脳出血となり点滴治療、左半身に軽い麻痺が残り、要介護3となった母73才。
リハビリ病院でのリハビリは消極的で、トイレや買物（おやつ購入）など自分のやりたいことには体を動かして、着替え・歯磨きなどは嫌なことは絶対にやらない、人にやって欲しいという人になりました。
（手伝ってもらうのでなく、全面的にやって欲しいという言動。）
依存度が高く、とにかくわがまま。
その状態で在宅介護×小規模多機能居宅施設デイサービス→グループホーム入居となりましたが、
グループホームでは依存度が高くなり、男性ヘルパーに全身を洗わせると苦言を言われました。
ちょっとの間も待てない。中途半端に体が動くため、ナースコールを待てずに呼びに来る。イレに自分で行き尿とりッドを毎回取り替えて1日30枚使う。トイレできちんと終わる前に立ち上がったり歩いて大小便をもらす。お茶・水は味がないと嫌がり絶対に飲まない。おむつかぶれがかゆいとかきむしり出血。
グループホームから、認知症ではなく単にわがまま、全介助を希望してるから退去して欲しいと言われるようになりました。
（特養には申込んでいますがやはり入居待ちです。私は正社員勤務で他に家族がいないため、申込中特養を泣き落とし訪問する時間はありません。）
そんな中、グループホームでヘルパー巡回を待てずに部屋を出て大腿部骨折。
どうせ寝たきりになりますが人工骨置換手術、しかしその手術前検査で心臓がひっかかり冠動脈精密検査をしようにも医師指示に従わず動いて手術前検査も検査もできずに寝たきり待機入院2週目です。
脳外科病院・リハビリ病院・グループホームと同じく、今の病院でも頻繁にナースコールをずっと握りしめて頻繁にコール。私が注意してナースコールを届かないところに置いたら、点滴チューブを引っ張ろうとしました。
ここまでくると、わがままではなく、やはり認知症でしょうか。
以前から、口が重くて無表情でしたが、今の外科病院に寝たきり待機入院してからますます反応が鈍いです。
認知症とわがまま：見極めの難しさ
介護の現場では、認知症の症状と、単なる性格やわがままとの区別が難しい場合があります。今回のケースのように、身体的な問題と精神的な変化が複雑に絡み合い、判断をさらに困難にすることがあります。特に、本人の行動が「わがまま」と解釈されがちですが、その背後には認知機能の低下や、不安、不快感といった要因が隠れていることもあります。介護士の仕事は、これらの要素を総合的に理解し、適切なケアを提供することにあります。
事例の分析：多角的な視点から
ご相談者の母親の事例を詳しく見ていきましょう。脳出血後のリハビリへの消極性、特定の行動への執着、そして周囲の指示に従わない態度は、認知症の初期症状として現れる可能性があります。同時に、身体的な不自由さや、これまでの生活習慣、性格的な要素も影響していると考えられます。例えば、
- リハビリへの消極性: 脳の損傷による意欲の低下、またはリハビリへの不安感が考えられます。
- 特定の行動への執着: 認知機能の低下により、過去の記憶や習慣に固執することがあります。
- 周囲の指示に従わない: 認知機能の低下による理解力の低下、または不安感からの反発が考えられます。
これらの行動は、認知症の症状だけでなく、本人の性格や、これまでの生活環境、そして現在の置かれている状況によっても影響を受けます。介護士は、これらの要素を考慮し、個別のケアプランを作成する必要があります。
認知症の可能性：専門家による評価の重要性
今回のケースでは、母親の行動が認知症によるものか、単なるわがままなのかを判断することは非常に困難です。専門家である医師や、認知症ケアの経験豊富な介護士による評価が必要です。認知症の診断には、認知機能検査、画像検査、そして本人の行動観察などが用いられます。これらの検査結果に基づいて、適切なケアプランが立てられます。
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介護現場での対応：具体的なアドバイス
認知症の疑いがある場合、介護現場では以下の点に注意して対応することが重要です。
- 本人の気持ちを理解する: 行動の背景にある不安や不快感を理解しようと努め、共感的な態度で接することが重要です。
- 環境調整: 本人が落ち着いて過ごせるような環境を整えることが大切です。例えば、騒音を減らし、見慣れた物を置くなど、安心できる空間を作ります。
- コミュニケーション: 簡潔で分かりやすい言葉で話しかけ、ゆっくりと説明します。視覚的な情報も活用し、理解を助けます。
- 日中の活動: 適度な運動や、趣味活動を取り入れることで、心身機能の維持を図ります。
- 家族との連携: 家族の意見を聞き、情報共有を密にすることで、より良いケアを提供できます。
家族としてできること：サポートと情報収集
ご家族は、介護を必要とする方の生活を支える上で重要な役割を担います。具体的には、
- 情報収集: 認知症に関する情報を集め、理解を深めます。
- 専門家との連携: 医師や介護士と協力し、適切なケアプランを立てます。
- 感情的なサポート: 本人の気持ちに寄り添い、安心感を与えます。
- 休息時間の確保: 介護者の負担を軽減するために、休息時間を確保し、必要に応じて外部のサービスを利用します。
グループホームとの関係：円滑なコミュニケーション
グループホームとの関係を良好に保つことも、質の高いケアを受けるために重要です。定期的に面談を行い、本人の状況やケアに関する情報を共有します。疑問や不安があれば、遠慮なく相談し、一緒に解決策を探ります。また、グループホームのスタッフとの信頼関係を築くことも大切です。
退去勧告への対応：冷静な判断
グループホームから退去を勧められた場合、まずは冷静に状況を整理し、その理由を詳しく確認します。そして、他の入居施設を探すことも視野に入れ、専門家や関係機関に相談しながら、最適な選択肢を見つけます。特養への入居を希望する場合は、現在の状況を施設に伝え、今後の対応について相談することも重要です。
医療機関との連携：適切な治療とケア
今回のケースでは、母親が医師の指示に従わないという問題があります。まずは、その背景にある原因を理解することが重要です。認知機能の低下や、不安感、不快感などが原因である可能性があります。医師や看護師と協力し、本人の状態に合わせたコミュニケーションを心がけ、治療への協力を促します。また、本人が安心して治療を受けられるように、環境を整えることも大切です。
介護士の仕事：専門性とやりがい
介護士の仕事は、高齢者の生活を支えるだけでなく、その尊厳を守り、豊かな生活を送れるように支援することです。認知症の高齢者へのケアは、専門的な知識と技術、そして深い理解と共感が必要です。介護士は、本人の状態を観察し、個別のニーズに応じたケアを提供します。また、家族との連携を図り、共に問題解決に取り組みます。介護士の仕事は、大変なこともありますが、高齢者の笑顔や感謝の言葉に触れることで、大きなやりがいを感じることができます。
まとめ：より良い介護のために
認知症とわがままの境界線は曖昧であり、個別の状況に応じて判断する必要があります。今回の事例を通して、介護現場での課題と、それに対する具体的な対応策を解説しました。介護を必要とする方を取り巻く環境は複雑であり、専門家との連携、情報収集、そして家族のサポートが不可欠です。より良い介護を提供するために、常に学び、改善を続ける姿勢が重要です。
追加のアドバイス：
今回のケースでは、母親の心身の状態が不安定であり、様々な困難に直面しています。以下に、より具体的なアドバイスをいくつか提案します。
- 医療機関との連携強化: 母親が医師の指示に従わない場合、その原因を詳しく探る必要があります。認知機能の低下、不安感、不快感などが原因である可能性があります。医師や看護師と協力し、本人の状態に合わせたコミュニケーションを心がけ、治療への協力を促します。必要に応じて、精神科医や認知症専門医の意見も参考にします。
- 環境調整の徹底: 母親が安心して過ごせるように、環境を整えることが重要です。騒音を減らし、見慣れた物を置くなど、安心できる空間を作ります。また、母親が理解しやすいように、簡潔で分かりやすい言葉で話しかけ、ゆっくりと説明します。視覚的な情報も活用し、理解を助けます。
- コミュニケーションの工夫: 母親とのコミュニケーションを円滑にするために、以下の点を意識します。
- 傾聴: 母親の話を注意深く聞き、共感的な態度で接します。
- 非言語的コミュニケーション: 笑顔やアイコンタクトなど、言葉以外のコミュニケーションも大切にします。
- 肯定的な言葉: 母親の行動を認め、励ます言葉をかけます。
- 家族のサポート体制の強化: 介護は、一人で行うには負担が大きいです。家族間で協力し、役割分担を明確にします。必要に応じて、親族や友人、地域のサポートサービスなどの協力を得ます。
- 専門家への相談: 認知症に関する専門家（医師、介護士、ソーシャルワーカーなど）に相談し、適切なアドバイスを受けます。専門家の意見を参考に、ケアプランを見直します。
更なる一歩のために：
今回のケースは、介護における様々な課題を浮き彫りにしています。ご家族が抱える悩みは深く、解決への道は簡単ではありません。しかし、諦めずに、様々な情報収集を行い、専門家と連携することで、より良い介護を実現することができます。そして、何よりも大切なのは、介護を必要とする方の気持ちに寄り添い、その尊厳を守ることです。
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