老健STの「辛い」を乗り越える！無力感と鬱を打破する具体的な方法
老健STの「辛い」を乗り越える！無力感と鬱を打破する具体的な方法
この記事は、老健で働く言語聴覚士（ST）の方々が直面する特有の悩み、特に重度認知症の入所者への対応における無力感、鬱状態、そしてキャリアへの不安を抱える方々に向けて書かれています。日々の業務で感じるジレンマを理解し、具体的な解決策と心のケア、そしてキャリアの選択肢を提示することで、現状を打破し、より良い未来を描けるようにサポートします。
老健で勤務する言語聴覚士です。老健は初めてで、前任者もいなかったため、設備や道具もなくとても戸惑っています。申請しても100均で買えるものしか購入できないため、自腹を切っています。ごく軽い失語に認知が入ってる方が2人、あとは重い認知症がほとんどです。嚥下障害の方はいますが…。PTが訓練をやりようがないような、全く指示理解、意思疎通ができない重度認知症の方を担当するしかなく、毎日本当に辛いです。STとしても、何をしたらよいのか全くわかりません。風船バレーも歌唱も出来ない方もいます。精神的に追い詰められています…。老健は、どこでもこのような環境なのでしょうか？PTと私、STの2人しかおらず、80名の週2回を担当しているため、余裕がありません。私はほとんどリハビリらしいことはできていません…。体操や散歩、風船バレー、輪投げや歩行、立ち上がり訓練を見よう見まねでやっている毎日です。無力感に苛まれ、鬱状態であまり眠れなくなってきました。毎日、重度認知症の方と接していると、本当にこんなこと言ってはいけないと思いますが、気が狂いそうになっています。介護士さんや看護師さんのようにお世話をする仕事だったらこんな気持ちにならないのかな…と思ってしまいます。理学療法士の同僚とは、今の状況を乗り切るしかない、と励ましあってやっていますが、私は正直、もうリハビリの仕事自体を続けられる自信が全くなく、鬱状態に陥っています。
1. 現状の課題を整理する：何があなたを苦しめているのか？
まず、あなたが抱える問題を具体的に分解し、整理することから始めましょう。現状を客観的に把握することで、具体的な対策を立てやすくなります。
- 業務内容と環境：
- 重度認知症の入所者が多く、STとしての専門性を活かしにくい状況。
- リハビリテーションに必要な設備や道具が不足している。
- PTとの連携はあっても、STとしての役割が明確でない、または限定的。
- 80名という多くの入所者に対し、週2回の頻度でのリハビリ提供。
- 精神的な負担：
- 無力感、自己効力感の低下。
- 鬱状態、不眠、精神的な疲労。
- 「気が狂いそう」という表現に見られる強いストレス。
- リハビリの仕事に対する自信喪失。
- 人間関係：
- 同僚のPTとの連携はあるものの、孤立感を感じる可能性。
- 他職種との連携の不足。
これらの課題を整理することで、問題の本質を理解し、具体的な解決策を検討するための土台を築くことができます。
2. 老健STの現状：どこも同じ？それとも改善の余地あり？
「老健はどこもこのような環境なのでしょうか？」という疑問に対する答えは、一概に「イエス」ではありません。確かに、多くの老健では、人員不足、設備投資の制約、入所者の重度化といった課題を抱えています。しかし、それは改善の余地がないという意味ではありません。
- 老健の現状：
- 人員配置： STの配置基準は施設によって異なり、十分な人員が配置されていない場合も少なくありません。
- 設備投資： 予算の制約から、最新の設備や専門的な道具が不足していることがあります。
- 入所者の状態： 高齢化が進み、認知症や重度の疾患を抱える入所者が増加しています。
- 多職種連携： 介護士、看護師、PT、OTなど、多職種との連携が重要ですが、連携がうまくいかないケースもあります。
- 改善の余地：
- 組織文化の変革： 積極的に意見を吸い上げ、改善しようとする組織文化を醸成することが重要です。
- スキルアップ： 研修への参加や、専門知識の習得を通じて、STとしての専門性を高めることができます。
- 他職種との連携強化： 定期的なカンファレンスや情報共有の場を設けることで、連携を強化できます。
- 環境整備： 予算内でできる工夫（100均グッズの活用、手作りの道具など）をすることで、環境を改善できます。
あなたの置かれた状況が厳しいものであったとしても、諦める必要はありません。現状を客観的に分析し、改善できる点を見つけ、積極的に行動することで、状況を好転させることは可能です。
3. 具体的な解決策：今日からできること
現状を変えるために、今日からできる具体的な行動をいくつか提案します。
3-1. メンタルヘルスのケア
精神的な負担が大きいと感じているあなたにとって、メンタルヘルスのケアは最優先事項です。
- 専門家への相談：
- 精神科医やカウンセラーに相談し、適切なアドバイスや治療を受ける。
- 医療機関を受診することに抵抗がある場合は、まずは職場の産業医や保健師に相談する。
- セルフケア：
- 十分な睡眠を確保する（睡眠導入剤の使用も検討する）。
- 規則正しい生活リズムを心がける。
- リラックスできる時間を作る（入浴、音楽鑑賞、軽い運動など）。
- 趣味や好きなことに時間を費やす。
- 瞑想やマインドフルネスを試す。
- ストレスマネジメント：
- ストレスの原因を特定し、それに対する具体的な対策を立てる。
- ストレスを軽減するための方法（深呼吸、アロマテラピーなど）を試す。
- ポジティブな思考を心がける。
3-2. 業務改善のヒント
日々の業務を少しでも楽にするための工夫をしてみましょう。
- 情報収集と学習：
- 重度認知症の患者に対するSTの役割に関する情報を収集する。
- 認知症ケアに関する研修やセミナーに参加する。
- 先輩STや専門家からアドバイスを受ける。
- 業務の効率化：
- 記録や報告書の作成を効率化する（テンプレートの活用、音声入力など）。
- 業務の優先順位をつけ、重要度の高い業務に集中する。
- PTとの連携を密にし、業務分担を検討する。
- 環境整備：
- 100均グッズや身近なものを活用して、リハビリ道具を工夫する。
- リハビリ室の環境を整え、患者がリラックスできる空間を作る。
3-3. チームワークの強化
一人で抱え込まず、周囲との連携を強化しましょう。
- PTとの連携：
- 定期的なカンファレンスを開催し、情報共有と連携を深める。
- それぞれの専門性を活かした役割分担を検討する。
- 困ったことがあれば、遠慮なく相談する。
- 多職種連携：
- 介護士や看護師との情報交換を密にし、患者の情報を共有する。
- 合同でのカンファレンスや勉強会を企画する。
- 他職種の意見を聞き、リハビリに活かす。
- 上司への相談：
- 現状の課題や困っていることを具体的に伝え、改善策を相談する。
- 必要な設備や研修の要望を伝える。
4. 重度認知症患者へのSTアプローチ：何ができる？
「PTが訓練をやりようがないような、全く指示理解、意思疎通ができない重度認知症の方を担当するしかなく、毎日本当に辛い」という悩みに対して、STとしてできることはたくさんあります。
- コミュニケーション能力の維持・改善：
- 非言語的コミュニケーション（表情、ジェスチャー、アイコンタクトなど）を活用する。
- 患者の残存能力に合わせて、簡単な指示や質問をする。
- 絵カードや写真などの視覚的補助具を活用する。
- 回想法を用いて、過去の記憶を呼び起こす。
- 嚥下機能の評価と訓練：
- 嚥下状態を評価し、適切な食事形態や姿勢を提案する。
- 嚥下訓練（間接訓練、直接訓練）を実施する。
- 食事介助方法を指導する。
- 生活の質の向上：
- 音楽療法、回想法、アロマセラピーなどを活用し、精神的な安定を図る。
- 残存機能を活かした活動（手芸、塗り絵、簡単なゲームなど）を提供する。
- 患者の興味や関心に合わせた活動を企画する。
- 家族への支援：
- 患者の状態やリハビリの内容について説明する。
- 自宅でのケア方法についてアドバイスする。
- 家族の悩みや不安を聞き、精神的なサポートを提供する。
これらのアプローチは、必ずしも劇的な改善をもたらすわけではありませんが、患者の生活の質を向上させ、精神的な安定を促すことができます。また、STとしてのやりがいを感じるきっかけにもなるでしょう。
5. キャリアパスの選択肢：今の辛さを乗り越えるために
現状の業務に限界を感じ、将来に不安を感じている場合は、キャリアパスについて考えることも重要です。
- 今の職場で働き続ける：
- 現状の課題を改善するための努力を続ける。
- スキルアップを図り、専門性を高める。
- 他職種との連携を強化し、チームワークを築く。
- 転職を検討する：
- 他の老健や病院、訪問リハビリなど、様々な職場を検討する。
- 給与や待遇、勤務時間などの条件を比較検討する。
- 転職エージェントに相談し、求人情報を収集する。
- キャリアチェンジ：
- STとしての経験を活かせる他の職種（医療機器メーカーの営業、福祉用具専門相談員など）を検討する。
- 新たな資格を取得し、専門性を高める（認知症ケア専門士、介護支援専門員など）。
- 独立開業を検討する。
どの選択肢を選ぶにしても、まずは自分の価値観やキャリアプランを明確にすることが重要です。
6. 具体的な行動計画：一歩ずつ、未来へ
最後に、今日から実践できる具体的な行動計画を立てましょう。
- 1週間：
- 毎日、5分間だけ、自分の気持ちを書き出す時間を作る。
- PTとの連携を強化するために、1日に1回はコミュニケーションを取る。
- 重度認知症患者に対するSTアプローチに関する情報を1つ以上収集する。
- 1ヶ月：
- 専門家（医師、カウンセラーなど）に相談する。
- 業務効率化のために、記録方法を見直す。
- 他職種との連携を強化するために、合同カンファレンスを企画する。
- 3ヶ月：
- スキルアップのために、研修やセミナーに参加する。
- 転職を検討するなら、求人情報を収集し始める。
- キャリアチェンジを検討するなら、情報収集や資格取得の準備を始める。
この行動計画はあくまでも例です。あなたの状況に合わせて、具体的な目標を設定し、一歩ずつ進んでいきましょう。
あなたが抱える悩みは、決してあなただけのものだけではありません。多くのSTが、同じような悩みや葛藤を抱えながら、日々業務に取り組んでいます。この記事が、あなたの現状を打破し、より良い未来を切り開くための一助となれば幸いです。
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