認知症高齢者の帰宅願望と性的虐待：介護現場における倫理とパワーハラスメント

特別養護老人ホームで働く看護師です。ある男性利用者のケアのことで質問します。彼は認知症で短期記憶がかなり障害されていますが、歩行などの身体機能は比較的維持されて杖独歩ですごしています。彼は帰宅願望が強く認知症に伴う脱抑制もあり、帰りたくなると怒り出して怒鳴ったりしてしまいます。多くの介護員さん達は良い関係性をベースに違う所に気持ちを向けて楽しい生活の提供に繋げて対応しています。しかし管理職含む一部の職員は帰宅願望の訴えに対して、自分の胸やお尻など自分の体を触らせ「今晩一緒に泊まりたいから待ってて」等と言って対応してます。また、会議の中でこのような性的な対応をしなさいと介護員に指示する事もあります。普通に対応すれば落ち着く利用者なのに、なぜ性的な関わりをするのかわかりませんし、違和感しかありません。質問ですが、２つあります。・これは高齢者の性的虐待にあたりますか？・介護上の性的な関わりを指示する事はパワーハラスメントになりますか？

ケーススタディ：高齢者施設における性的虐待とパワーハラスメントの実態

あなたは、特別養護老人ホームで働く看護師として、倫理的に許容できない状況に直面しています。認知症の男性利用者の帰宅願望に対し、一部の職員が性的な対応を取っているという事実、そしてその行為を管理職が指示しているという事実は、深刻な問題です。このケースは、高齢者虐待、特に性的虐待とパワーハラスメントの両面から考察する必要があります。

まずは結論から

結論として、はい、これは高齢者の性的虐待にあたります。また、介護上の性的な関わりを指示することは、パワーハラスメントに該当する可能性が非常に高いです。

このケースは、利用者の尊厳を著しく侵害しており、決して許される行為ではありません。認知症であっても、意思能力が完全に欠如しているとは限りません。利用者の感情や意思を無視した性的な行為は、重大な人権侵害です。さらに、管理職による指示は、職場におけるパワーバランスの歪みを露呈しており、深刻なパワーハラスメントとして問題視されるべきです。

高齢者の性的虐待とは？

高齢者の性的虐待とは、高齢者の性的自己決定権を侵害するあらゆる行為を指します。今回のケースでは、利用者の意思に反して身体的接触が行われているため、明確な性的虐待に該当します。認知症の利用者であっても、性的虐待の被害者となる可能性があり、その行為は決して正当化されません。

身体的接触：今回のケースのように、身体を触られる行為は、典型的な性的虐待です。
性的発言：「今晩一緒に泊まりたい」といった性的発言も、性的虐待に該当する可能性があります。
性的行為強要：性的行為を強要されるケースも、もちろん性的虐待です。
性的羞恥心や恐怖心を引き起こす行為：利用者に性的羞恥心や恐怖心を抱かせる行為も、性的虐待に含まれます。

これらの行為は、利用者の身体的・精神的健康に深刻な悪影響を及ぼします。また、施設の信頼性を著しく損ない、他の利用者や職員にも悪影響を及ぼす可能性があります。

パワーハラスメントと介護現場

管理職による「性的な対応をしなさい」という指示は、明確なパワーハラスメントです。パワーハラスメントとは、職場の優位性を利用した嫌がらせ行為であり、今回のケースでは、管理職が部下である介護職員に対して、倫理的に問題のある行為を強要しています。

職務上の地位の乱用：管理職は、その地位を利用して介護職員に不当な指示を出しています。
精神的苦痛の与える行為：性的な対応を強要されることは、介護職員にとって大きな精神的苦痛となります。
不当な労働条件の強制：倫理的に問題のある行為を強要することは、不当な労働条件の強制に該当する可能性があります。

パワーハラスメントは、職場環境を悪化させ、職員のモチベーション低下や離職につながります。また、利用者へのケアの質にも悪影響を及ぼす可能性があります。このような行為は、絶対に許されるべきではありません。

具体的な対応策

この状況を改善するために、以下の具体的な対応策を検討する必要があります。

内部通報：まず、施設の内部通報窓口に報告しましょう。もし、内部通報窓口がない、または効果がない場合は、外部機関への通報も検討すべきです。
証拠の確保：管理職からの指示や、性的な対応に関する証拠を確保しましょう。メールやメモ、録音など、証拠となるものを集めておくことが重要です。
専門機関への相談：弁護士や人権擁護団体などに相談し、法的措置を検討しましょう。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応を講じることができます。
他の職員との連携：同じように問題を感じている職員がいる場合は、連携して対応しましょう。複数人で声を上げることで、より効果的な対応が期待できます。

成功事例：倫理的な介護の実践

多くの介護施設では、倫理的な介護を実践し、利用者の尊厳を尊重する取り組みが行われています。例えば、認知症高齢者の帰宅願望に対しては、寄り添い、共感し、現実的な代替案を提供することで、落ち着かせようとするアプローチが一般的です。例えば、写真やビデオを見せる、懐かしい音楽を聴かせる、思い出の品に触れさせるなど、利用者の感情に寄り添うケアが重要です。

成功事例として、ある施設では、帰宅願望の強い利用者に対して、自宅を再現した「思い出の部屋」を作成し、そこで過ごす時間を提供することで、落ち着きを取り戻すことに成功しています。このような工夫によって、性的な対応に頼ることなく、利用者の安心感を高めることが可能です。

まとめ

今回のケースは、高齢者の性的虐待とパワーハラスメントという深刻な問題を含んでいます。あなたは、勇気を持って問題を提起し、適切な対応を取る必要があります。一人で抱え込まず、専門機関や信頼できる人に相談し、共に解決策を探りましょう。

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