介護職の葛藤と未来への道標：亡くなった利用者さんへの対応から学ぶ、プロとしての成長

国家資格を取って介護施設に勤めていました。ある大手介護企業のショートステイに相談員で入社しましたが、腕を見込まれて別支店のセンター長に引き寄せられました。そこでは介護士に転換し介福も取らせてもらいました。数年後、家族の超多忙によって行き場所がなく、介護施設と医療施設を転々としていたある男性利用者さんが入所してきました。マヒや認知はないものの、かなりの高齢でとても痩せていました。体調も不安定で、徹底した見守りが必要でした。寝たきりですがショートなので個室からは出られません。しかも体調の変化によってすぐに亡くなってしまうと申し送りを受けていたので、定期的な見守り以外は誰も近づきたがりません。特に変化もなく数日から数週間経った頃でしょうか、ある日、私は仲が良かった看護師以外にフロアには誰もいない状態になりました。フロアには特別な見守り体制が必要な利用者さんはほかにはいません。私は昼食時にその方の初めての食介に入りました。ほとんど食べませんし飲めない状態でした。点滴が必要な状態も通り越していました。「看取らなければならないのだろうか。。」そんな感情が頭をよぎったその時、水分でむせてしまいました。ほんの少し後ろからお越し、お声掛けしたけど反応がありません。「しまった！」と思いました。急いで看護師を呼びに行ったら電話で何やら話しています。看護師さんを促して、急いで利用者さんの部屋に行きました。バイタルをとりましたがエラーしか出ないと取り乱してしまい、そのままセンター長に報告しました。すぐに病院搬送のために救急車を要請し、ご家族にも連絡しました。家が近かったのか救急車よりも早くご家族が到着しました。ご家族とセンター長とで短い話が交わされ、病院までご利用者とご家族、そして私が付添うことになりました。病院に到着するまで、救急救命士さんがご利用者を人工呼吸していました。病院に到着すると処置室に運ばれ、私はご家族と一緒に経過を待つことになりました。数分後にドクターが出てこられ、私に「ご苦労様でした」と言って帰るよう指示されました。ご家族には「お話がありますから一緒についてきてください」と言われ、2人で治療室に戻られました。私はセンター長に経過を報告し、すぐにタクシーで戻るよう指示を受けました。施設に戻りケースを報告しました。その後にご家族からも病院からも、また施設からもこの件について触れることはなくなりました。けれども帰りのタクシーの中から、自分の中で葛藤が始まっていました。救急搬送後にドクターを待っている間、ご家族と会話をし、「これまでありがとうございました」とお礼も言っていただけました。けれども、本当にターミナルが近い利用者さんのケアに間違いはなかったのだろうか。。介護途中ですでに息がないのはこの仕事を経験している人ならわかるかもしれません。息がなくても病院い着くまでに人工呼吸を続けた救急車のスタッフさん。そして病院に到着し、私もドクターの説明があるまでは、ずっとご家族に寄り添い続けました。このお話はすべて事実ですが、間違っていたこと、正しかったことがもうわかりません。今後私は、このような体験をどのように受け止めながら前に進んでいけばよいのでしょうか？

この質問は、介護職として長年経験を積まれた方が、尊厳死や終末期医療、そして自身の役割について深く悩まれている様子が伝わってきます。ご自身の行動に間違いがあったのか、正しかったのか、その判断に苦しんでいらっしゃる様子が痛いほど伝わってきます。この記事では、この経験から得られる学び、そして今後の介護職としてのキャリアをどのように歩んでいくべきかについて、具体的なアドバイスと専門家の視点から考察していきます。

1. 状況の整理と感情の受け止め

まず、ご自身の経験を整理してみましょう。あなたは、最期の時を迎える利用者さんのケアにあたり、最善を尽くそうと努力されました。食介を試み、むせた際にすぐに看護師を呼び、救急車を要請し、ご家族にも寄り添いました。これらの行動は、介護のプロフェッショナルとして、当然のことと言えるでしょう。

しかし、その後、ご自身の中で「間違いはなかったのか」という葛藤が生まれています。これは、非常に自然な感情です。終末期のケアは、医療的な判断と倫理的な判断が複雑に絡み合い、常に正解がない難しい局面です。

重要なのは、ご自身の行動を自己批判するのではなく、その経験から何を学び、今後どのように活かすか、を考えることです。 この経験は、あなたをより深く、より優れた介護職へと成長させるための貴重な機会なのです。

2. 専門家の視点：医療的判断と倫理的側面

このケースにおいて、医療的な判断は医師が行うものです。あなたは、利用者さんの容態変化をいち早く察知し、適切な対応を取られました。救急車を呼ぶという判断は、迅速で的確なものでした。

倫理的な側面においては、あなたはご家族に寄り添い、最期まで温かいサポートを提供されました。これは、介護職として非常に重要な姿勢です。

「息がなくても病院に着くまでに人工呼吸を続けた救急車のスタッフさん」の行動は、医療のプロフェッショナルとしての責任感と、生命への敬意を示しています。あなたも、この精神を共有し、行動に移したと言えるでしょう。

もしかしたら、もっと早く医療機関に連絡すべきだった、もっと積極的な介入をするべきだった、と考えるかもしれません。しかし、状況判断は常に難しいものであり、完璧な対応は不可能です。

大切なのは、その時の状況下で、あなたが最善を尽くしたという事実です。 そして、その経験から学び、今後の対応に活かすことです。

3. 今後のキャリアを考える：学びを活かすための具体的なステップ

この経験を糧に、今後のキャリアをどのように歩んでいくか、具体的なステップを考えてみましょう。

記録の見直しと反省：今回のケースを詳細に記録し、何がうまくいったか、何が改善できるか、を分析しましょう。記録は、今後のケアに役立つだけでなく、自身の成長を促す重要なツールです。
チームとの連携強化：今回のケースでは、看護師との連携がスムーズに行われた点も重要です。チーム医療の重要性を改めて認識し、より緊密な連携を築く努力をしましょう。定期的なカンファレンスや情報共有を積極的に行い、チーム全体で質の高いケアを提供できる体制を構築することが重要です。
専門知識のアップデート：終末期ケアに関する知識やスキルをアップデートしましょう。専門書を読んだり、研修に参加したりすることで、より適切な判断と対応ができるようになります。特に、尊厳死や延命治療に関する知識は、介護職にとって不可欠です。研修や資格取得を通して、専門性を高める努力を継続しましょう。
心のケア：今回の経験は、あなたに大きな精神的な負担を与えたでしょう。必要であれば、上司や同僚、専門機関に相談し、心のケアを受けることをお勧めします。一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けながら、心の健康を維持することが重要です。
キャリアパス：この経験を踏まえ、今後のキャリアパスについて考えてみましょう。専門性を活かして、終末期ケアに特化した部署や施設への転職も選択肢の一つです。あるいは、教育担当として、後輩の育成に携わることも、あなたの経験を活かす有効な方法でしょう。

4. まとめ：未来への一歩を踏み出す

あなたは、大変な経験をされましたが、その経験はあなたを成長させるための貴重な機会です。この経験から学び、より優れた介護職として成長し、多くの人の役に立つことができるでしょう。

自分を責めるのではなく、この経験を前向きに受け止め、未来への一歩を踏み出してください。

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困難な状況の中でも、あなたは最善を尽くし、ご家族に寄り添いました。その事実を胸に、未来に向かって進んでいきましょう。

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