特養と老健の違いとは？介護のプロが教える、施設選びのポイントと家族の心構え

特養と老健の違いとは？介護のプロが教える、施設選びのポイントと家族の心構え

今回は、ご家族の介護について悩まれている方からのご相談にお答えします。以下がご相談内容です。

ご相談ありがとうございます。お祖母様の介護について、大変なご苦労をされていることと思います。まずは、特養（特別養護老人ホーム）と老健（介護老人保健施設）の違いについてご説明し、その上で、現在の状況に対する具体的なアドバイスをさせていただきます。

特養（特別養護老人ホーム）と老健（介護老人保健施設）の違い

ご質問の中に、特養と老健の解釈について触れられていましたが、一部異なります。それぞれの施設について、詳しく見ていきましょう。

特養（特別養護老人ホーム）とは

特養は、原則として、常に介護が必要で、自宅での生活が困難な方が入所する施設です。主な目的は、入居者の生活を支援し、心身機能の維持・回復を図ることです。

• 入所対象者: 介護度3以上の方が優先的に入所できます。ただし、特例として、介護度2の方でも、やむを得ない事情がある場合は入所が認められることがあります。
• 施設の目的: 生活の場としての側面が強く、終身利用を前提としている場合が多いです。
• サービス内容: 食事、入浴、排泄などの日常生活の介護、健康管理、機能訓練、レクリエーションなど、多岐にわたるサービスが提供されます。
• 費用: 介護保険が適用され、所得に応じて自己負担額が決まります。比較的安価で利用できるのが特徴ですが、入所待機期間が長い傾向があります。
• その他: 認知症の方や、医療的なケアが必要な方も多く入所しています。

老健（介護老人保健施設）とは

老健は、病状が安定し、治療の必要性が低い方が、在宅復帰を目指すための施設です。リハビリテーションに重点が置かれており、医療ケアも提供されます。

• 入所対象者: 病状が安定し、リハビリテーションや看護、介護を必要とする方が対象です。
• 施設の目的: 在宅復帰を支援することが主な目的であり、入所期間は原則として3ヶ月から6ヶ月程度です。
• サービス内容: リハビリテーション、看護、介護、食事、入浴などのサービスが提供されます。
• 費用: 介護保険が適用され、自己負担額は所得に応じて決まります。特養に比べて、初期費用や月額費用が高くなる傾向があります。
• その他: 医師や看護師、理学療法士、作業療法士などの専門職が配置されており、手厚い医療ケアが受けられます。

今回の相談者様の場合、お祖母様の認知症が進み、日常生活に支障をきたしている状況です。特養への入所を希望されているものの、待機期間が長いという問題に直面しています。老健も選択肢として検討されていますが、費用面で悩まれているようです。

特養と老健、どちらを選ぶべきか？ 費用とサービスの比較検討

特養と老健のどちらを選ぶかは、ご本人の状態、ご家族の状況、そして費用面を総合的に考慮して決定する必要があります。それぞれのメリットとデメリットを比較検討してみましょう。

特養のメリット・デメリット

メリット

• 費用が比較的安い: 介護保険が適用され、所得に応じた自己負担で利用できます。
• 終身利用が可能: 生活の場として、長期的に利用できます。
• 手厚い介護: 日常生活の介護に特化しており、24時間体制で介護サービスが提供されます。

デメリット

• 入所待機期間が長い: 多くの人が入所を希望するため、入所までに時間がかかることがあります。
• 医療ケアが限られる場合がある: 医療的なケアが必要な場合は、対応できる範囲が限られることがあります。
• レクリエーションが少ない場合がある: 施設によっては、レクリエーションやイベントが少ない場合があります。

老健のメリット・デメリット

メリット

• リハビリテーションが充実: 理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションが受けられます。
• 医療ケアが充実: 医師や看護師が配置されており、医療的なケアが必要な場合にも対応できます。
• 比較的短期間の利用: 在宅復帰を目指すための施設であり、一時的な利用が可能です。

デメリット

• 費用が高い: 特養に比べて、初期費用や月額費用が高くなる傾向があります。
• 入所期間に限りがある: 原則として、3ヶ月から6ヶ月程度の利用となります。
• 生活の場としての側面が弱い: リハビリテーションが中心であり、生活の場としての要素は特養に比べて少ないです。

ご相談者様の場合、お祖母様の認知症が進み、日常生活に支障をきたしているため、特養のような手厚い介護が必要であると考えられます。しかし、入所待機期間が長いという問題があるため、老健も選択肢として検討せざるを得ない状況です。費用面がネックとなっていますが、一時的な利用であれば、費用負担も軽減できる可能性があります。

現在の状況に対する具体的なアドバイス

現在の状況を踏まえ、いくつかの具体的なアドバイスをさせていただきます。

1. 特養の入所待機について

特養の入所待機期間が長いことは、多くのご家族が直面する問題です。しかし、諦めずに、以下の対策を講じることで、入所を早めることができる可能性があります。

• ケアマネジャーとの連携: ケアマネジャーに、特養の空き状況や入所条件について、定期的に情報収集をしてもらいましょう。また、緊急性の高い状況であることを伝え、優先的に入所できるよう働きかけてもらいましょう。
• 複数の特養への申し込み: 複数の特養に申し込み、入所の可能性を広げましょう。それぞれの特養の情報を比較検討し、ご本人に合った施設を選びましょう。
• ショートステイの活用: 特養の入所を待つ間、ショートステイを利用し、ご家族の負担を軽減しましょう。ショートステイを利用することで、特養の入所判定において、有利になることもあります。
• 施設の情報を収集: 施設の雰囲気や、入居者の様子など、事前に情報を収集することも重要です。

2. 老健の利用について

老健は、一時的な利用であれば、費用負担を軽減できます。また、リハビリテーションを受けることで、お祖母様の心身機能の維持・回復を図ることができます。老健を利用する際には、以下の点に注意しましょう。

• 利用期間を明確にする: 在宅復帰を目標とし、利用期間を明確に設定しましょう。
• リハビリテーションの内容を確認する: どのようなリハビリテーションが受けられるのか、事前に確認しましょう。
• 費用について確認する: 費用について、事前に詳細を確認し、ご家族の負担を考慮しましょう。
• 在宅復帰後のサポートについて確認する: 在宅復帰後のサポート体制について、事前に確認しましょう。

3. 家族の負担軽減策

お祖母様の介護は、ご家族にとって大きな負担となります。ご家族の負担を軽減するために、以下の対策を講じましょう。

• 介護保険サービスの活用: デイサービスや訪問介護など、介護保険サービスを積極的に活用し、ご家族の負担を軽減しましょう。
• 家族間の連携: ご家族で協力し、役割分担を行いましょう。
• 地域包括支援センターの活用: 地域包括支援センターに相談し、介護に関する情報やサポートを受けましょう。
• 専門家への相談: ケアマネジャーや医師など、専門家に相談し、アドバイスを受けましょう。
• 休息時間の確保: ご自身の休息時間を確保し、心身ともに健康な状態を保ちましょう。

ご相談者様は、お祖母様がデイサービスがない日に外に出てしまうことや、ご家族が出かけることができないことにストレスを感じています。このような状況を改善するためには、以下の対策を検討しましょう。

• デイサービスの利用頻度を増やす: デイサービスの利用頻度を増やし、お祖母様の活動の場を確保しましょう。
• 訪問介護の利用: 訪問介護を利用し、ご家族が外出する際に、お祖母様の見守りをお願いしましょう。
• 一時的な預かりサービスの利用: 一時的な預かりサービスを利用し、ご家族が外出する際のサポートを受けましょう。
• 認知症カフェの利用: 認知症カフェを利用し、お祖母様が他の人と交流できる機会を作りましょう。

介護施設選びの注意点と、後悔しないためのポイント

介護施設を選ぶ際には、いくつかの注意点があります。後悔しないためにも、以下のポイントを参考にしてください。

1. 事前の情報収集

施設を選ぶ前に、できる限り多くの情報を収集しましょう。施設のウェブサイトやパンフレットだけでなく、実際に施設を見学し、スタッフや入居者の様子を観察することが重要です。また、入居者の声や口コミなども参考にしましょう。

2. 施設の雰囲気

施設の雰囲気は、入居者の生活の質に大きく影響します。明るく清潔感があり、入居者が笑顔で過ごせるような施設を選びましょう。スタッフの対応や、入居者同士の交流の様子なども確認しましょう。

3. サービス内容

施設が提供するサービス内容を確認し、ご本人のニーズに合ったサービスが提供されているか確認しましょう。医療ケアの有無や、リハビリテーションの充実度なども重要なポイントです。

4. 費用

費用の内訳を詳細に確認し、ご家族の経済状況に合った施設を選びましょう。介護保険が適用される費用だけでなく、その他の費用（食費、光熱費、日用品費など）も考慮しましょう。

5. 契約内容

契約内容をしっかりと確認し、不明な点があれば、施設側に質問しましょう。特に、退去時の費用や、サービス内容の変更などについては、事前に確認しておくことが重要です。

介護施設選びの成功事例

介護施設選びに成功した事例をいくつかご紹介します。

事例1：事前の情報収集を徹底したAさんの場合

Aさんは、母親の介護施設を探すにあたり、近隣の施設を徹底的に調査しました。施設のウェブサイトやパンフレットだけでなく、実際に施設を見学し、スタッフや入居者の様子を観察しました。また、入居者の声や口コミなども参考にしました。その結果、母親に合った、安心して過ごせる施設を見つけることができました。

事例2：ケアマネジャーとの連携を密にしたBさんの場合

Bさんは、ケアマネジャーと密に連携し、母親の介護状況や希望に合った施設を探しました。ケアマネジャーは、地域の介護施設に関する情報に詳しく、Bさんの母親に合った施設を提案してくれました。また、入所手続きや、入所後のサポートも行ってくれました。その結果、Bさんは、安心して母親を施設に預けることができました。

事例3：家族で話し合い、希望を共有したCさんの場合

Cさんは、家族で話し合い、父親の介護施設に対する希望を共有しました。父親の希望や、家族の希望を総合的に考慮し、父親に合った施設を選びました。また、入所後も、家族で協力し、父親の生活をサポートしています。その結果、Cさんは、父親が安心して過ごせる環境を作ることができました。

まとめ：最適な介護施設選びのために

特養と老健の違いを理解し、ご本人の状態やご家族の状況、費用面を総合的に考慮して、最適な介護施設を選びましょう。事前の情報収集を徹底し、施設の雰囲気やサービス内容、費用などを比較検討することが重要です。また、ケアマネジャーや専門家と連携し、アドバイスを受けながら、ご本人とご家族にとって、最善の選択をしてください。

今回の相談者様は、お祖母様の介護について、大変な状況に置かれています。特養の入所を希望しながらも、待機期間が長いという問題に直面し、費用面から老健も検討せざるを得ない状況です。しかし、諦めずに、特養の入所を早めるための対策を講じ、老健の利用も検討しながら、ご家族の負担を軽減するための対策を講じることが重要です。また、介護施設を選ぶ際には、事前の情報収集を徹底し、施設の雰囲気やサービス内容、費用などを比較検討し、ご本人に合った施設を選びましょう。ご家族で協力し、支え合いながら、お祖母様の介護を乗り越えていきましょう。

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